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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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塩野フィネス(シリーズNo.1160)

世界水準の製造設備と品質管理体制
少数精鋭で医薬品原薬・中間体を研究開発

長谷川 雅美 社長

 今からおよそ400年前、江戸時代から『くすりの町』として、その流通を担い、現代においても多くの製薬会社が社屋を構える大阪・道修町。この地で、人々の健康を支え、医薬の明日に貢献し続ける企業がある。
 医薬品の有効成分、いわば薬の核となる部分である医薬品原薬・中間体の受託製造を手がける塩野フィネス株式会社がそれだ。


 フランス語で「巧みな技術」を意味する『finesse』をその名にもつ同社の前身は、日本初の国産水溶性エッセンスを開発した香料界のパイオニアとして知られる塩野香料㈱の有機合成化学部門。その高い技術力・開発力の蓄積が、医薬分野へ参入する契機となった。
 とはいえ、分野も基準も全く異なる香料と並んでの研究開発は難しかったため、1996年に分社し同社が設立された。98年には、福井事業所が竣工。生産品目が徐々に福井事業所へ移され、現在の体制に至った。
 福井事業所には最新鋭の設備が導入され、全施設がGMP(製造・品質管理基準)に対応する。製造過程の段階から厳しく管理することで、品質の保証された安全性の高い原薬を提供できる。その努力は、4品目の新薬の承認を可能にし、日本のみならず欧米でも活用されている。「設立以来掲げてきた『高品質の医薬品原薬を世界へ発信する』という目標へ挑戦し続けたい」長谷川雅美社長は話す。

男女年齢問わず活躍の場を
「感受性」が成長の鍵

 一層のグローバル化を実現するためには、より高品質で安全性の保証された原薬を開発する必要がある。高い技術力をもち、世界レベルで戦う力をもつ同社だが、その戦力たる社員数は74名と多くはない。さりとて、それは弱みにはならない。社員各々が「卓越した技術をもつプロフェッショナル集団」だからだ。
 この集団に属する研究者として、何ごとにも好奇心をもち、感受性を磨き、状況判断力・対応能力を養うことが求められる。研究開発や品質・リスク管理において、広範囲の知識は必須であり、多くを学ぶ必要があるからだ。長谷川社長自身、若い頃から責任ある仕事を任されてきた経験から、老練者だけでなく若者にも活躍する場を用意している。「挑戦してこそ人は成長する。そのための援助は惜しまない」と熱く語る長谷川社長。
 来年は設立20周年の節目にあたる。「現段階での取引先は国内企業中心ですが、先々には海外の企業相手にもやっていきたい」と本格的な海外進出も視野に入れる同社。さらに、時代の趨勢を見極め、新薬のみならず後発薬の研究開発にも力を注いでいくという。
「巧みな技術」でもって、世界中の人々の健康を守るという使命を果たすために、勇往邁進し続ける塩野フィネスから目が離せない。 

【会社データ】
本社=大阪市中央区道修町3―1―6
☎=06―6222―1471
資本金=9000万円(塩野香料㈱100%出資)
事業内容=医薬品原薬・医薬品中間体の製造・販売
http://www.shiono-finesse.com

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