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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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ステッドラー日本(シリーズNo.991)

筆記具の世界的老舗・ステッドラー製品を日本へ
蛍光マーカーは「お願いランキング」で1位獲得!!


遠井 孝夫 社長

 パソコンやeメールの普及で、「手書き」文化が失われつつある現代社会に警鐘を鳴らすのは、ステッドラー日本株式会社遠井孝夫社長だ。


「手の動きによる脳の活性化や繊細な表現など、手書きには多彩な力がある。我々はステッドラー製品の普及を通じて、手書き文化を守っていきたい」
 と、遠井社長は夢を語る。

 同社はドイツ・ニュルンベルクに本社を置くステッドラー社の日本法人として1974年に設立。40年の歴史の中で、その製品は製図・デザインのプロから絶大な信頼を獲得している。

 そもそも、1662年に鉛筆職人として世界で初めて登録されたフリードリッヒ・ステッドラーを先祖とするステッドラー家が1835年に設立した鉛筆製造工場がステッドラー社の始まり。現在は世界21カ国に子会社を持ち、約160カ国で製品を販売している。

 同社の製品は、質実剛健なデザインが魅力。勤勉で誠実な日本人と相通じるドイツ人が作る製品は世界でもトップの品質を誇る。

 昨年3月放送のテレビ朝日「お願いランキングGOLD特別編第1回最新文房具総選挙」。これは文房具の専門家の投票で、便利な文房具をランキング形式で発表するもの。そこで同社製品「テキストサーファーゲル」は数ある有力筆記用具を抑え、見事1位につけた。

「鉛筆から蛍光マーカーまで当社製品は多彩で、日本での開発製品もあります」
 と語る遠井社長は大学の卒業旅行でドイツに渡航。ドイツに魅了されて帰国後、当時数名の社員のステッドラー日本の門を叩く。1982年3月のことだ。

「面接と卒業式が重なったため、2日前に面接辞退を告げに行きました。すると、その場で面接を行うことになり、即内定を頂くことになりました」(遠井社長)

 何とも運命的な就職をした遠井社長は、28年後の2010年に社長に就任。

「対話を増やす、労働環境を整える。この2点に注力しました。会社の雰囲気の変化で、低迷していた業績を安定させることに成功しました」
 と、就任後の施策を語る。

高級万年筆・オーブン粘土「FIMO」も販売



 同社は昨年、冒頭に触れた「手書き」文化存続のため、高級筆記具ブランド「ステッドラープレミアム」を発売。中でも、「ババリア」はクリップにダイヤをあしらった世界限定48本・売価216万円の超高級万年筆だ。また、筆記具以外にオーブン粘土「FIMO」も販売。細かい細工ができ、オーブン110℃で20~30分加熱すると、簡単に硬くなり、カラーは全72色、お手製ブローチも作れる。子供だけでなく、主婦や高齢者からも人気だ。

「イベントや文化教室等を通じ、ステッドラーの魅力をより一般の方にも伝えていきたい。また、デジタル化社会にも対応するため、子供向けアプリと連動したタッチペン付鉛筆を発売致しました」(遠井社長)

【会社データ】
本社=東京都千代田区岩本町1―6―3
☎=03―5835―2811
設立=1974年7月
資本金=3億円
事業内容=一般筆記具・製図デザイン用品・オーブンクレイの輸入販売
http://www.staedtler.co.jp 


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