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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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アステム(シリーズNo.1704)

「スピード&スムーズ」でサービスをカタチに
  短納期を実現する空調設備機器メーカー



野口 敬志 社長

 
 宮城県南部に位置する刈田郡蔵王町矢附。この地に本社工場を置く株式会社アステムは、空調設備の関連製品の製造・販売で〝短納期のスペシャリスト〟として存在感を発揮し、業界でトップクラスのシェアを誇る。今年1月には経済産業省の「地域未来牽引企業」に選出された。
同社は1963年、空調設備の付属品を扱う商社として横浜に設立した㈱日野設備工業を前身とする。


当時は建設ブームで作れば売れる時代。後に製造も手がけるようになり、業績は拡大しました。しかしその後、大手取引先の倒産やバブル経済崩壊によって深刻な経営状況に陥りました」
と話すのは、2代目となる野口敬志社長。父君が創業した同社に営業として入社したのは、まだバブル経済が崩壊する前のことだ。
「今までのお客様が突然『今後は1番安いところから買うから』とおっしゃる。聞くと私たちの出荷額より3割は安い。従来のように製品が売れなくなってくると工場の稼働率は下がり、完全に負のスパイラルに入っていきました」(野口社長)
 95年に宮城県角田市の工場長に就任した野口社長は、ほどなくして生後から脳性麻痺を患っていた弟を亡くし、更に1年経たぬ間に母親がすい臓癌で急逝するという重い不幸が相次いだ。
「母から『自社株をもらってあなたに贈与するから、これからも頑張りなさい』との遺言を承けて、この厳しい状況をなんとしても切り抜ける決意を固めました」
と野口社長は語る。そんなある日、同社を〝復活〟へと導く案件が舞い込む。
「とにかく明後日までに納めてもらいたいというお仕事で、当時は暇でしたのでできない仕事ではなく、オーダー通りに仕上げて納品すると、とても喜んでくださった。しかも対価は2倍でも払うと言うのです」
これを機に野口社長は、顧客が欲しい時に確実に納める「短納期」ニーズに応じる事業計画をまとめ、出資先を探すべく奮闘した。
これまで取引のあったヤマケンマシナリーさんから連絡を頂き、出資して頂くことになりました。子会社とならないように配慮までしていただいて、『やる気があるならば、あなたが自分でやりなさい』と言ってくださいました」(野口社長) 
97年7月、同社は現在の社名となり、今の体制につながる基盤を築いた。

顧客満足から
従業員満足


顧客満足度ナンバーワンを目指すべく「短納期」を軸とした同社のビジネスモデルは好調に廻り始めた。しかし顧客との信頼を育くむ一方で、社内では劣悪な労働環境が常態化していた。
「極端に言うならば『寝ないでやる』方法で短納期を実現していました。今でいう働き方改革どころの話ではありません」(野口社長)
 それでも仕事は増え、売上は上がり、人も増員する中で、従業員も満足していると野口社長は考えていた。
「社会保険労務士さんの提案で、2002年に社内コミュニケーション診断というアンケート調査を実施したところ、本当にひどい結果で、会社への不満がたくさん書いてありました。このままでは従業員が全員やめてしまうと思いました」
これによって大きな気づきを得た野口社長は、「顧客の満足度を高めるのは従業員である」という考え方に改め「従業員満足度ナンバーワン」の会社を目指すことを宣言。従業員の要望を汲み、あらゆる面から社内の改善に取り組んだ。実際に3年後に再度実施した調査では劇的な改善という結果が表れたという。
併せて同社は社内システムの構築に注力し、製造工程の「見える化」を実現。生産工程を管理すると共に、その後も更に改善を重ね、省力化を図る設備投資によって効率を上げた。
「ほかの会社さんでは納期にゆとりを持たせるところを細かいところまで徹底して数値で管理し、根拠を詰めています。常に『最善』で仕事が進み、働く従業員にとっても無理なく進行ができ、高いクオリティが保てています」(野口社長)
 同社の「短納期」を裏付ける合言葉は〝スピード&スムーズ〟。「電話には2コール以内に出る」「見積書は1時間以内に出す」等、さまざまな業務に具体的な基準を設け実行している。
こうした取り組みが実を結び、サブロク協定にも抵触することなく、昨年度の純利益は生産性向上のみで前年対比25%増を達成した。
安全衛生にも積極的に取り組む同社は16年、中央労働災害防止協会の会長賞を名だたる大企業と肩を並べて受賞。安全衛生への取り組みが生産性向上に貢献するだけではなく、従業員のモチベーションを上げる大きな契機となることを証明したことが評価された。


「魅せる」工場
アジアNo.1企業を目指す


〝魅せる〟工場でありたいという考え方から同社は工場見学を「ショー」と捉え、積極的に実施している。
「見学していただくほど良い会社という自覚を持って、各ラインの若手社員が笑顔でプレゼンできるステージを与えています。工場で働く人は対人関係が苦手なイメージがあるかもしれませんが、皆とても楽しんでやっていますよ」(野口社長)
 製造業でありながら「私たちはサービス業」と唱える同社。短納期であることや、お客様が使いやすい製品の開発など、「サービス」をカタチにして提供する同社の理念は一貫している。
「全ての従業員が定年を迎える企業でありたい。次の世代に繋げていく会社となるためには、会社独自の『文化』を醸成していかなければなりません」(野口社長) 
 同社は3年前にインドネシアに子会社を設立。アジアのサプライヤーとしてASEANでナンバーワンを目指す一方で、野口社長はこれまで以上に「短納期のアステム」を磨きあげることと、更にプラント系の製品の開発も視野に入れる。
「工事工程が詰まっているがゆえに最後にしわ寄せが来るという『短納期』の構図がある。今はまさにオリンピックの建設ラッシュの中、最後の砦として私たちが断ったら本当に間に合わないのだという使命感を持って取り組んでいます」
と野口社長は語る。


【会社データ】
本社=宮城県刈田郡蔵王町矢附字川原脇1-2
☎=0224-22-7780
創業=1962年6月
資本金=3100万円
従業員数=105名
売上高=18億800万円
事業内容=空調用機器の設計・開発・製造・販売
http://www.e-astem.jp

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