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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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関東農機(全国ふるさと企業の研究)

“メード・イン・ジャパン”で世界に挑む!
「助っ人精神」で新製品を創る農機メーカー

稲葉 茂房 社長

干瓢(かんぴょう)や苺の生産地として知られる栃木県。宇都宮市に次ぐ人口数を誇る小山市は、水戸から前橋へと繋がる国道50号線と、東京―青森間を結ぶ日本一長い国道4号線が交わる交通の要衝でもある。

 幾多の工場が連なる小山工業団地の中に、1万坪の広大な敷地を持つ関東農機株式会社は、設立から53年を迎える老舗の農機メーカー。意外にも同社の勃興は、干瓢農家が原点。
 創業者である稲葉茂平氏が周辺地域の農家の作業軽減のために一念発起し、干瓢丸むき機を製作したのがおこり。1935年には専売特許を取得している。以来80年、斬新な発想と高い技術力で、数々の農業機械を製造してきた。  
 その最新作が昨年発売された、家庭菜園用小型耕耘機「畑のスイッチ」である。前方にある耕耘部の回転がレバー一本で「耕耘」と「畝立て」の2通りに変更できる業界初のシステムを備えるほか、小回りも利き、女性でも簡単に扱える利便性の高い製品である。
 また昨年、青森のにんにく農家から要望を受けて開発された「にんにく用覆土管理機 さくら」は、管理機に搭載された折り畳み式のブラシを使い、畑に張られたマルチシートの上に飛ばした土を必要な場所に筋状に集めていく。これによりニンニクの雪冷えを防ぐ。
 このほかにも、畝を叩くことによって質の高い葱や苺が作れる「ねぎパンチャー」「うねパンチャー」といった特定の作物に特化した農耕機械を製造している。
「ねぎパンチャー」の誕生は、真夏の早朝、高くした畝が崩れてしまうのを防ぐために農家の人々が自作の板で畝側面を叩いている光景をヒントに考案された。この手間を機械が代行することで、砂地でもネギの白身が均一に保たれて成長するという代物だ。
 農耕機械に限らず、築地など国内主要の中央卸売市場で見かけるターレット運搬車も同社の主力製品。その昔、秋葉原に位置していた神田市場で、当時荷物の輸送に使用されていた大八車を動力のある車輌に転換させたことが始まりだ。いまや市場の7割という高いシェアを占める。
 また、札幌と仙台の市場で導入されている約900台のターレット運搬車は天然ガスを使用し、環境負荷の軽減に寄与。もちろん、この取り組みも業界初。一体、なぜこれだけ多くの「業界初」を生み出せるのか。

「いつも顧客のそばに」
創業から貫く経営理念

「“業界初のモノを作る”という目的ではなく“お客様の役に立ちたい”という使命を突き詰めると結果として新発明に繋がります」
 と語るのは創業者の孫にあたる同社の6代目、稲葉茂房社長(55)。大学卒業後22歳で大阪営業所に入社し、3年前の社長就任まで“営業畑一筋”でやってきた。そこから得たスキルを、社員に日々伝授している。
「当時は誰よりも早く現場に駆けつけ、お客様の要望を真正面から受け止める気概を持って取り組んでいました。新しい発想は改善点が無いと一向に生まれません。今でも多品種の製品を創り続けられるのは社員が常にお客様に寄り添い、問題点を即座に探る力を持っているからです」(稲葉社長)
 また、稲葉社長自ら毎日ブログを更新し、社員と情報を共有する。内容は日々の目標やその日に起こった出来事、月に1回行われる全体朝礼の議題についてなど多岐にわたる。
 モノづくりに対する情熱も人一倍だ。
「モノづくりにはボーダーラインがありません。お客様が困っているのならば、当社が持っている技術で『出来る限り何でも作っていこう』という精神で取り組んでいます」
 と稲葉社長は語る。
 その「困った人を助けたい」という精神は、創業時から今に至るまで経営の根幹として受け継がれ、ブランド名である「ヘルパー」の由来に繋がる。さらに、「ねぎパンチャー」や「さくら」に「はこ坊や」といったユニークな製品名は、少しでも農作業に対する抵抗を無くし「農作業を楽しいものにしたい」という思いが込められている。

オリジナル製品でアジア展開
海外でも顧客のニーズを追求

 同社のモノづくりの特長は、開発設計から製造・販売・サービスに至るまでを自社で一貫して行っている点である。部品は全て日本製というこだわりだ。
 また、業界大手メーカーのOEMも数多く手掛けるほど高い評価を受ける技術力を、アジアを中心とした海外でも発揮しようと試みている。一昨年には海外向けの野菜苗の移植機を伸張させ、年商49億円を達成。現在、海外の売上比率は1割を占めるほどに拡大し、同社にとって欠かせない分野である。
 昨年11月、ベトナムのハノイで開かれた展示会には同社を含め日本から農業機械メーカーが参加。来場者の予想以上の好評に、日本の農業機械がアジアのマーケットに通用することを実感。今後、海外拠点の売上を現在の130%に拡大し、国内での新製品の拡販と合わせ2年後に年商100億円突破を目指す。
 さらに、今年の4月から本格始動したオーナー支援システムは、農業機械製品1台ごとにQRコードを添付。顧客が携帯端末でQRコードを読み取ることで、製品の取り扱い説明書や安全に関する注意事項が瞬時に閲覧できるサービスだ。
 また、定期的にメンテナンスを行うリマインダー機能も搭載。万一、機械が破損し、修理を要する時も販売代理店が顧客の製品の状況を把握しやすくなる。
 同システムを用いて、蒔いた種の成長を文章や写真で記録できる点は画期的といえる。作物の成長をリアルタイムに認識できるのだ。こうした機能をフル活用することで、自分だけのオリジナルの農業機械として長く愛用することに繋がる。
「今後も、さらに部品一つから作り出す力を磨き、国内外のお客様を困り事から解放したいと思っています。『目立たずとも、困り事のあるところに必ず関東農機がいる』  そんな会社でありたいですね」(稲葉社長)
 茂平氏から脈々と受け継がれる「助っ人精神」で、次はどんな新製品が誕生するのかが楽しみだ。 
【会社データ】
本社=栃木県小山市横倉新田493
☎=0285―27―3271
設立=1962年9月
資本金=4600万円
従業員数=230名
事業内容=農業用・産業用機械製造
http://www.kantonoki.com

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