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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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メトロ電気工業(シリーズNo.1070)

金型加熱器で産業界に新風を吹き込む
創業101年の光源・熱源専門メーカー

川合誠治社長

「フィラメントに京都の竹を使用して、1879年白熱電球の実用化に成功した発明王・エジソンに憧れて、愛知県刈谷市の工業高校卒業後、当時から各種特殊電球の開発・製造・販売でユニークな取り組みをしていた当社に入社しました。以来48年間、光源・熱源としての電球の用途開発に邁進してきました」

 と、自身を振り返るのは、白熱電球の実用化から34年後の1913年(大正2年)創業の光源・熱源の専門メーカー、メトロ電気工業株式会社の川合誠治社長だ。

 現在では、日本の冬を象徴するこたつ用ヒーターユニットの製造販売で80%のシェアを有し、各種のヒーター製品、管球製品を主に民生用製品向けに供給し続けてきた同社は、このほどモノづくり産業向けに、中部電力との共同開発で完成した「HIGH POWER金型加熱器」を発表した。

「HIGH POWER金型加熱器」が
モノづくりの現場を変える

 11月13日~15日、パシフィコ横浜で開催された「2014日本ダイカスト展示会」に、同社は中部電力との共同で新製品「HIGH POWER金型加熱器」を出展。中部電力出展ブースの一角を借りての今回初出展だが、その一角には常に人だかりができていた。

 さて、「HIGH POWER金型加熱器」とはいったいどんな製品だろう。モノづくりの現場では、鋳造工程で使う金型を予め一定の高温に加熱しておく必要があるが、これまではその熱源にガスバーナーを使用することが多く、温度ムラや火力の調整など、人の操作に起因するバラツキが問題になっていた。その他にも昇温時間の長さや、火を扱うことの危険、工場内環境に与える影響など、様々な課題を抱えながら、他の選択肢が見当たらないことから長年ガスバーナーを使い続けてきたという実情がある。

 今回出展された「HIGH POWER金型加熱器」は、高純度のカーボン薄板に特殊なスリット加工を施すことで高出力を実現したカーボンヒーターを熱源とする。従って、①火を扱う危険な作業が無く、CO2の削減、工場内環境の改善に繋がる②電気式のため火力調節の必要が無く、人の操作によるバラツキが出ない③中赤外線加熱のため金型の温度分布が均一になり、過度に局部加熱されないので金型の劣化を低減する④昇温時間もガスバーナー方式の約半分に短縮でき、タイマー制御でON/OFFできるので作業稼働率が大幅に改善できる⑤突入電流(電源投入時に一時的に流れる大電流)もなく、電源投入後約5秒で立ち上がるのでエネルギー効率も良い、などの特徴を持つ。

 これらの特徴は、従来のガスバーナーによる加熱が抱えていた課題を一挙に解決するもので、モノづくりに携わる専門家の来場者が多いこのイベントにおいても、大きな関心を集めたことがうかがえる。

 モノづくりのメッカ、愛知県を中心に中部地方に電力を供給し、今回の金型加熱器の共同開発者でもある中部電力は、以前から大口電力需要者であるモノづくりメーカーのニーズを汲み取り、省エネや生産性改善に寄与する開発型提案を行ってきている。そんな中、金型加熱の熱源をガスから電力に切り替えたいという要望が多く寄せられ、その要求に応え得るメーカーを探していたところ出会ったのが、同社だった。

 中部電力が電気を使う熱源の中で着目したのが、同社が2005年に開発した「ピュアタンヒーター」だ。
 これは、炭素純度99・8%の繊維状の薄板を特殊技術で加工したカーボンフィラメントを熱源に採用し、アルゴンガスなどの不活性ガスとともに石英ガラス管内に封入したカーボンヒーター。①放射率85%で赤外線放射性能に優れ、立ち上がりも早く短時間で最高温度に達する②低~高電圧に対応し、最高1300℃まで温度調整も自由自在③最長3mの長尺品まで生産可能で大型乾燥機にも導入できるなど、従来のカーボンヒーターを遥かに凌ぐ性能を有する。発売以来、様々な加熱分野の省エネに大きく貢献し、「新時代のクリーンエネルギー」の誕生として評価され、各分野から用途開発の引き合いが舞い込んでいた。そのうちの一つが今回の「HIGH POWER金型加熱器」なのだ。

「HIGH POWER金型加熱器」は、中部電力の「ニーズ発掘→技術開発→ソリューション提案→効果検証→チューニング→設計手法構築」という一連の流れを持つ「開発一体型ソリューション」に則って、2年間の開発期間を経て完成したもの。カーボン薄板のスリットの入れ方で抵抗値の調整が可能な「ピュアタンヒーター」の特性を生かして金型加熱に必要な高温を実現。石英ガラス管封入なので、水がかかっても割れない安全設計だ。 

ローテクの知恵の追求で 
輝き続ける存在でありたい

「ニッチ市場にこそ、当社の技術が生きる舞台がある。工夫を重ね、ローテクに磨きをかけて様々な用途を開発し、いつまでも輝き続ける存在でありたい」
 と川合社長が語るように、 同社の歩んだ道程は用途開発の積み重ねの歴史だった。1913年、「メトロランプ」の商標で電球の製造販売から始まった同社は、やがて冷蔵庫の庫内用電球や虫除け電球、電子レンジ用耐熱電球など、様々な特殊電球の開発・製造・販売に強味を発揮。中でも63年に製造販売を開始した電気こたつ用の赤外線暖房用電球は、同社飛躍の原動力となったもの。その実力は現在のこたつ用ヒーターユニットに引継がれている。

 一方で、各種電球の安定供給のため、生産拠点の拡充にも注力。95年には中国・浙江省に、01年にはマレーシアに生産委託工場を設立、コスト競争力の維持にも力を注いできた。さらに13年には、BCP(事業継続計画)の観点などから島根県雲南市に新工場を設立、創業101年の老舗企業として「継続」を意図した施策にも余念がない。

 05年の「ピュアタンヒーター」の開発で、これまでの民生用から産業用へと用途開発の幅を広げた同社。その皮切りとなったのが、フライヤーや焼き鳥器など、調理器具の熱源として「ピュアタンヒーター」が採用され始めたことだ。これは、熱効率のほかに備長炭に匹敵する赤外線放射性能が思わぬ効果をもたらし、「焼き上がりが早くなった」「今までより美味しく揚がるようになった」などの声が、導入先企業から寄せられているという。

 そんな評価の声がじわじわと伝わり、今回の中部電力との「HIGH POWER金型加熱器」の共同開発に結び付いたわけだが、川合社長はその意味を次のように語る。
「中部電力様の顧客層に当社の技術が導入されるのは光栄の至りです。ただ、その開発の基となったのはあくまでも電球の技術。これからも、ハイテクではなくローテクの分野で当社の技術を末長くご活用頂けるよう、様々な用途開発を地道に続けていきたい」

【会社データ】
本社=愛知県安城市横山町寺田11―1
☎=0566―75―8811
設立=1913年5月
資本金=6000万円
社員数=82名
事業内容=各種特殊電球・ヒーター開発・製造・販売

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