兄弟二人三脚で「次の50年」を先導する
〝基礎を固く〟業績を伸ばす鉄骨工事会社
半田 昌巳 常務
中小企業が直面する大きなテーマ「事業承継」。静岡県富士市に敷地約5千平米の本社工場を構える株式会社半田工業所は、今年で設立55年を迎える。半田光社長が2代目として就任したのは、先代が逝去した2010年のことだ。
「創業者である先代社長は私の祖父にあたります。父は私が中学生の時、既に亡くなっており、会社を継ぐのは私しかいませんでした」
と話す半田社長は、当時33歳。これまで実績を残してくれた先輩社員である従業員と、その家族の生活を思うと「この会社をなくすことはとても考えられなかった」と振り返る。
「営業」と「現場」
強固な連携体制
「業績の回復については、時代の流れが後押しをしてくれて、運も大きかった」
と話すのは、半田社長の弟である半田昌巳常務取締役だ。高校卒業後、日本溶接専門学校へ進学を経て同社に入社。当初は図面を担当していた後に、鉄骨工事のあらゆる現場で経験を積み、現在は採用や人材教育を含めた実務の管理を担う。
「私が入社した頃、業界では図面のCAD化が進み、新しく設備を導入しないと流れに乗り遅れるという風潮がありました。ちょうど私たちの世代交代と同じタイミングでCADは更に進化し、効率化と同時に自分たちにも高度な技術力が備わりました」(半田常務)
同社はこの10年間で若手を積極的に採用。今では30代を中心とする中堅が育ち、快活な挨拶が飛び交う現場を牽引している。
「緻密な仕事は段取りと連携が基本。日々のミーティングはもちろん、普段から交流を図ってコミュニケーションを密にしています」
従業員の意識が高く、皆がそれぞれ自分たちで考え、率先して動いていると半田常務は話す。同社が売りとする3大ワード「プライス」「スピード」「フットワーク」は、こういった環境から、外注では成し得ない精度によって遂行されている。
また同社は若い社員のモチベーションを大切にするための報酬制度を用意し、常にチャンスを与えている。賞与を支給する際は従業員一人ひとりと向き合うための面談の場を設け、現金で手渡ししているという。
「困ったことがあったら考え込まないでもらいたいという思いから、福利厚生の一環として社員のプライベートやご家族の皆さんにも会社負担で顧問弁護士を紹介しています。『思い』が通じている会社でありたいと考えています」(半田常務)
「営業」を統括する半田社長と、人事を含め生産・施工「現場」を統率する半田常務。兄弟ならではの阿吽の呼吸により、異なる分野で社長が二人いるに等しい強固な体制が機能している。
鉄のように固く
信頼を更に育む
来年度からの働き方改革に向けて「溶接」「仕口」「柱の大組」3段階に分けて最新ロボットシステムの導入を進めている同社。
「この先の2年間、市場は緩く厳しくなっていくだろうと考えています。働き方改革だけでなく、その時に備えて単価を抑えられるための投資でもあります」
と半田常務は語る。鉄骨工場の「M」グレードの中でも上位に属する同社は、この8月からいち早くBCP(災害時の事業継続計画)運用をスタートさせている。
「従業員のためにも、常に高い意識で取り組んでいきたい。むやみに会社を大きくするための投資は考えず、先代たちが残した財産を大切に継いでいく方向で『うちに頼めば絶対に間違いない』という信頼感を更に固くしていきたい」(半田常務)
「良い会社とはどういう会社なのかと考えると、今いる社員が私たちの魅力を紹介して、当社に入ってくださるような会社であること。すでに常務の後輩たちが紹介を通じて入社し活躍していますが、今いる社員たちのご子息がこの先、私たちの会社に入って活躍してもらえる会社でありたい」
と半田社長は語る。
【会社データ】
本社=静岡県富士市神谷66-2
☎=0545-34-0456
設立=1964年11月
資本金=1000万円
従業員数=19名
売上高=8億8000万円
事業内容=重量鉄骨、軽量鉄骨加工、鉄骨階段、建築鉄骨工事一式、総合建築工事一式
https://handa-fuji.com
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