世界のモノづくりの常識を覆す!
超高速応答 極細・極薄熱電対を発明
安部 可伸 社長
1821年に現象が発見され、広く使われ続けている「熱電対」。対に接続された2本の異種金属線が温度差を測定し、金属の種類によって測定範囲を変化させたり、金属線の大きさを自由に変えたりできるため応用性が高い。
現在では爆竹が炸裂する瞬間の温度や、エンジン内部の温度計測が可能な「超高速」「高感度」熱電対まで生まれた。この「超高速応答 極細・極薄熱電対」を生み出し、日本機械学会から2010年度「優秀製品賞」を受賞した人物が、株式会社アンベエスエムティの安部可伸社長だ。
93年に設立された同社は、リフロー炉の温度を最適に測るリフローセンサや熱電対の開発・販売で実績を重ねてきた。リフローセンサは、開発後初めての展示会で1人のアメリカ人が注目。その技術は海を渡り、リフローオーブンで世界的に活躍するものとなった。
またエンジン内部の温度を計測できるようになった結果、小型かつ高速回転のほうが燃費が良いことを証明。エネルギー消費量削減・温暖化防止に貢献している。
11年には実現不可能とされていた「X線リフローシミュレーター」を開発し、販売を開始。はんだ付け中の溶融はんだの挙動などをX線装置で観察し、はんだ接合時の異常現象の解明や対策に利用されている。総厚30ミリと薄いオーブンであり、極めて細かい部分のものまで観察することを可能とした同製品は、日本で2つの特許を取得。アメリカ・ヨーロッパにも出願中だ。
答えは自分の中にある!?
成功のカギは"rethink”
名古屋工業大学で工業化学を学んだ安部社長は、卒業後も大手企業数社で研究を続けてきた。自らを好奇心のかたまりと評し、会社勤め時代から自宅の研究室でテーマを見つけては研究に没頭していた〝生粋の科学者〟だ。『SMTはんだ付け不良の解析と対策』(工業調査会)の著者でもあり、90年にははんだ付けの際にチップが立ち上がってしまう不具合「マンハッタン現象」を解明した。
学生時代から海外で見識を広めるほか、占星学に科学的なアプローチをするなど興味の対象は幅広い。
そしてアメリカ旅行中に出会った〝rethink〟という言葉こそが、安部社長の研究を支え続けている。
「今まで考えていたものを白紙に戻して、また一から組み立てる。禅問答のように、ただ一つの質問を朝から晩まで繰り返し、新しく考え直す。すると突然閃いてうまくいくのです」
〝どんなに○○でも、○○でなければ意味がない〟をモットーに、今後はエネルギー分野など社会に貢献しながら収益にもつながるテーマに取り組んでいくという安部社長。次世代の人々へとメッセージをくれた。
「失敗経験を書きとめ、各々が自問自答をしてほしい。たとえ一兵卒でも自らの考えを持ち、先を読んで動くことのできる人材に、これからの日本を導いていってほしいですね」
【会社データ】
本社=神奈川県横浜市緑区西八朔町149―18
☎=045―937―6023
設立=1993年10月
資本金=1000万円
事業内容=実装技術に関する技術コンサルタント・極細極薄熱電対の製造販売
http://www.anbesmt.co.jp
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