太陽光発電で電気ハツラツ!
船橋市芝山から世界に羽ばたく躍進企業
大木 武士 社長
大型家電量販店の進出や後継者不足などにより、減少の一途をたどる地域密着型の電器店。そうした厳しい状況が続く業界内にあって、目を見張るほど成長を遂げている企業がある。今年創業40周年を迎えた、千葉県船橋市の株式会社大木無線電気だ。
カーオーディオなどの自動車用品を中心とした雑貨の販売・取り付けから事業をスタートした同社。その後家庭用電化製品の取り扱いも開始し、アマチュア・業務無線の販売・工事も手掛けるようになった。やがて官民問わず幅広く電気・通信・空調工事を手掛けるなど、時代の変化とともに事業領域を広げている。
そんな中、近年注力しているのが省エネ・創エネ関連事業。特に太陽光発電システムの販売・施工では業界有数の実績を築き上げている。家庭用に始まり、メガソーラーなど産業用太陽光発電分野にも進出。2012年7月の再生可能エネルギー固定価格買取制度開始以前からいち早く事業化に向けた準備を進め、今では北は北海道、南は九州まで全国に納品実績がある。
同社の強みは設計・機器調達・施工・メンテナンスまですべて自社社員が担える業界有数の対応力と技術力。また扱う商品に特徴があるのも強みだ。高品質・低価格な海外の商品を積極的に取り入れている。特に太陽光パネルは太陽光発電先進国として知られるドイツのソーラーワールド社製の長期性能ランキング世界一のパネルを日本で最初に案件採用し、注目を集めた。
パネルを設置する架台の研究・開発にもいち早く着手。現在、中国・台湾メーカー6社と提携し、新たにメガソーラーに特化した架台や太陽光を無駄なくパネルに照射できる追尾式架台の開発も手掛けている。
製品性能を確認するために実証実験を重ね、自社で納得したものだけを顧客に提案しているのも特長だ。自社でも太陽光発電所を運営しており、現在合計5メガ㍗超を建設中。長期にわたる安定的な発電を証明するための試みでもある。
国内で獲得した信頼・実績を引っ提げ、海外進出にも意欲的な同社。すでにカンボジアに関連企業を設立し、台湾でも現地法人の立ち上げを計画している。
2代目社長が率先垂範
財務体質を大幅改善
時代のニーズを的確に捉え、同社を力強く牽引しているのが大木武士社長だ。大木社長は松下電器産業(現パナソニック)出身。「箱物」を中心とした電気工事から数十億円規模の通信インフラ事業まで、現場代理人・監理技術者を経験し、07年に家業である同社に入社した。翌年、創業者で父君の大木常昭氏が逝去。急遽2代目社長に就任した。
「電気屋は何かと重宝されるため仕事に困ることはない。しかし、私が入社した当時は仕事量こそ多かったものの、資金繰りの厳しい状況が続いていました。会計や経営の勉強をする中で、下請け中心の経営体質から脱却することが生き残るために不可欠と考えました」
ちょうど世間は地上波テレビ放送のデジタル化を目前に控えていた頃。多くの電器店は地デジ対応テレビの販売に注力していた。だが同社は主業務である電気工事業のノウハウを生かしながら、他社と差別化できる道を模索。導き出した答えが太陽光発電事業だった。
「技術力とセットになった商品を直接お客様に販売し、自ら流通を生むことで現状を打破できると考えました。〝太陽光発電のプロ中のプロ〟を目指し、この分野ではどこにも負けない企業をつくろうと決心しました」
以降セミナーや海外視察、資格研修に参加するなど貪欲に太陽光発電を学んだ大木社長。たった1人で住宅用太陽光発電システムの設計・営業・販売を手掛け始め、最盛期は月20件の成約を含め1人で年間100件以上を販売した。クーリングオフは過去に1件もない。
「当初、周囲からは反対の声も上がりました。そこで、まず私自身が手本となり、実績を重ねる必要があると考えました。日常の業務と並行して新たなことに挑戦するのは大変でしたね」
そして今日、太陽光発電事業で見事飛躍を遂げた同社。大木社長就任以降、売上は従来の20倍以上にまで増大した。不用意に事業拡大目的だけで人材を増やしたり無駄な経費を掛けたりすることなく、経営効率の見直しによって財務体質の大幅改善に成功した。
躍進の背景には、太陽光発電やオール電化、リフォームの分野で活躍する中小企業約100社で結成された全国組織「職人革命会」の存在も大きいという。
「毎月1回勉強会が開かれています。日々の情報共有や仲間との親交はとてつもない後ろ盾となりました」
心の学校創設で著名な佐藤康行氏に師事し、人間力を高めるべく研鑽に努める一面も。「今があるのは佐藤先生から学んだおかげ」と大木社長は感謝を表す。
また、若手人材の採用にも注力。「社員は社会の財産」との考えから、世の中に必要とされる魅力あふれる人材の育成に励み、社会貢献活動にも力を注いでいる。
「私達にとって太陽光発電事業の成功がゴールではない。培った技術を生かして社会に貢献でき、自分達もワクワクできることは何かを常に追求しています。その結果、『水・土壌』をテーマにした新たな環境事業に乗り出すことを決めました」
すでに養豚場に電解水設備を設置し、労働環境・畜産衛生問題の改善に挑戦。農業や病院、介護福祉施設、学校、食品工場など衛生管理徹底が求められる様々な場での導入も目指している。
地元・芝山への貢献を続け
町のシンボルを目指す
このように、地域の電器店から世界を駆け巡るグローバル企業へと進化を遂げた同社。しかし、慣れ親しんだ地元・船橋市芝山への貢献も決して忘れることはない。大木社長は話す。
「近隣で40年以上の業歴を有する企業・店舗は当社を含めてわずかになりました。この地に店舗を構え続けるのは地域への責任でもある。近い将来、芝山において個人でも気軽に出店でき地元の人々で賑わうコミュニティを設けるのが私の夢。そのためにも今後も町のシンボルを目指し『電気ハツラツ!』に邁進していきます」
【会社データ】
本社=千葉県船橋市芝山4―18―1
☎=047―465―4186
創業=1974年1月
資本金=2000万円
売上高=約24億円
従業員数=15名
事業内容=太陽光発電設備工事・電気設備工事・電気通信設備工事・空調設備工事一式、家庭電化製品販売、ハト被害対策
電気工事業 千葉県知事許可(特―25)第39936号
管・通信工事業 千葉県知事許可(般―23)第39936号
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[7回]
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