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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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日本生科学研究所(シリーズNo.1009)

少子高齢化に挑戦する地域包括ケアを実践
健康・安心・絆ライフラインの構築を目指す


青木 勇 社長

「少子高齢化」問題は、今でこそ全国民が共有する課題となっているが、30年前からこの時代の到来を予見し、「少子高齢社会の健康保持・増進インフラ整備」に向け着々と布石を打ってきた会社がある。

 現在では調剤薬局を36店舗、介護事業38事業所の他、10カ所の保育園、サービス付高齢者住宅2棟、グループホームなどを展開する、1984年設立の株式会社日本生科学研究所青木勇社長)だ。

 その他にも特定健診を行う保健事業や医療・介護人材を育成する教育事業、学校給食を提供する食品事業など、いずれも少子高齢化問題に対応する事業を推進。それぞれが地域包括ケアシステムの構成要素として機能している。

「社会の変化に合わせた、社会が必要とするサービスを提供しています。ビジョンにも掲げている『健康・安心・絆ライフラインの構築による明るい地域社会の実現』が我々の使命です」
 と、語る青木勇社長。

 中でも2007年4月、同社が指定管理者となった「和光市新倉高齢者福祉センター」では、高齢者が元気で長生きできる予防事業を地域と一体となり実践。要介護度の改善事例など、著しい効果を上げている。12年9月には、天皇皇后両陛下が行幸啓され、センター利用者の様子などをご覧になられている。

 また、11年には地域包括ケアの一環としてサービス付高齢者向け住宅「日生オアシス和光」を開設し、満室が続いている。この事業は09年に、国土交通省主催の「高齢者居住安定化モデル事業」に選定されている。

「『日生オアシス和光』は訪問介護や通所介護、24時間体制の定期巡回・随時対応型訪問介護看護、居宅介護支援、診療所、薬局といった、あらゆるサービスが整い、建物の中だけではなく建物外の地域の方にもサービスを行っている、時代をリードする包括ケア住宅です。厚生労働省や各自治体を始め、ASEAN諸国からも度々視察に訪れています」(青木社長)

 同社では現在2カ所のサービス付高齢者向け住宅を運営。グループホームを含めると、今年度内には合計9施設まで拡大する計画だ。

志半ばの父君を継ぎ20歳で社長就任



 さらに同社は健康を維持するサプリメントの開発にも注力。中でも「長寿姫」は貴重な天然のブドウ由来トランスレスベラトロール(ボルドー産)や国産コエンザイムQ10、赤ブドウエキス末などを配合した高品質のサプリメントで、高齢化社会に向けて若々しく元気に楽しく過ごしたい人達に需要が高まっている。

 このように、幅広く地域の医療・介護の充実に力を注いでいる同社だが、その始まりは1966年に遡る。

 兼松江商(当時)で給食用食材の卸業を行っていた青木社長の父君は、会社がその部門を廃止することを受け、今までの経験を生かすため、66年に給食普及会という小・中学校の給食材料の総合卸業を創業した。しかし、独立してからわずか4か月後、父君は交通事故で急死の憂き目にあう。残された事業と家族を守るため、継ぐのは自分しかいないと考えた青木社長は、弱冠20歳にして父君の会社を継ぐ一大決心をする。

「継いだ当初は仕入れ先が商品を売ってくれないなど、色々な苦労を重ねましたが、お客様を含めた皆さん方に助けてもらい、何とか続けられました」(青木社長)

 その後、会社は着実に業績を伸ばし続け、創業18年が経過した頃、青木社長は児童・生徒数の推移を見て、今後日本はある問題に直面すると予測した。約30年前では誰も予想していなかった少子高齢化問題だ。

「統計学をもとにして、少子高齢化に気づきました。人口構造の分析では、今後介護が伸びてくると予想できました。また、新しい法改正による医薬分業にも注目し、医療分野への参入を決めました」(青木社長)

 そこで、給食普及会はそのままに、84年に株式会社日本生科学研究所を設立。

「最初に始めたのはグループ診療ですが、医師が集まらない、開業してもすぐに辞めるなど、大分苦戦をしました。今考えると、当時グループ診療を始めるのは時期尚早だったと思います。その後、調剤薬局に変更し、98年の日生薬局河田町店開設から軌道に乗り出しました。現在でも調剤薬局は我々の柱として、36店舗の大型調剤薬局チェーンにまで成長しています」(青木社長)

 この調剤薬局チェーンを基盤に現在の総合的な地域包括ケア事業に発展していくことになる。

人材こそが宝愛があふれる社内環境



「会社は社員によって支えられています。私は人材を何より大切にし、愛を持って接するようにしています。『愛が第一』、人はどんなことがあっても愛するしかない。事業の成功より先に人を愛し大切にする。これが私の考えです」(青木社長)

 社員研修や社員教育など、人材育成にも力を入れている同社。中途入社者を含め、入社した人材の定着率は非常に高いという。

「今後は大手ディベロッパーとの共同で調剤薬局や介護、保健、保育などのサービスが揃うトータル施設を、我々が一貫して提案できるプロジェクトを予定しています。減少を続ける生産人口に対しては、女性の社会進出という観点から、保育園等の子育て支援にも力を入れていきたいですね」
 と、青木社長は語る。

 社会問題に対応し、すべての人を幸せにする地域包括ケアシステムは、今後も私たち国民をやさしく守ってくれるだろう。    

【会社データ】
本社=東京都新宿区河田町3―10
☎=03―3341―2421
設立=1984年9月
資本金=9700万円
売上高=125億円
従業員=1200名
事業内容=地域包括ケアサービス業全般
http://www.jlsri.com

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