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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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結城運輸倉庫(シリーズNo.1596)

100年企業へカウントダウン!
時代の変革を「物流」で支える運送会社


結城 賢進 社長

 石油製品の運送を中心に150台以上の大型タンクローリーを完備し、関東~東北エリアで16の営業所を展開する結城運輸倉庫株式会社は、今年で創業95年目を迎える老舗企業だ。
「関東大震災が起きた1923年に『物流』を通じて首都復興に貢献するため、その2ヶ月後に曽祖父が開業したのが始まりです」
 と語るのは、4代目となる結城賢進社長。結城運送店として荷馬車による運送事業で創業した同社は、昭和に入ってトラック運送に事業を転換。第二次世界大戦前には旧満洲・大連に支店を設け、関東州全域の食料品運搬に従事するなど精力的に事業を展開していた。
 戦後は53年より大協石油(現・コスモ石油)の運送業務の受託を開始し、高まる石油需要と共に事業を拡大。まさしく物流を通じて時代の変革を支え、自社も発展してきた。


 結城社長は慶応義塾大学を卒業後、2004年に同社に入社。先代であった父君の急逝に伴い15年12月、社長に就任した。
「まずは『会社として精神的な支柱を作らなくては』と考えました」(結城社長)
 理念を掲げるだけでなく、実務に浸透させることを就任1年目の課題として注力し、新入社員を本社に集めた集合研修ほか、次代を担う管理職の育成も強化。
「ドライバーは元々、他の仕事を苦手とする職人気質の人が多いのですが、各拠点の管理職は事実上の経営者であり重要な役割。社内・社外から、そして時代からも求められる管理職になって欲しい」(結城社長)
 コミュニケーションを重視し、話をすることよりも「聞くこと」が大切と言う結城社長は、可能な限り現場へ出向き〝距離の近い社長〟として全社員との関係性を強固にしたいと考える。

「不易流行」の精神
〝物流人〟としての矜持を

 石油の需要とともに事業を拡大してきた同社は今、自らの立ち位置を見直すべき時期を迎えている。
「これまでの95年間は常に動き続ける時代に合わせて変化してきた歴史でもあり、大きな財産。これからの時代を生き抜くための大きなヒントが含まれています」
 松尾芭蕉が説く俳諧の理念「不易流行」を挙げながら、結城社長は語る。
「『物流』を通じ、首都復興に貢献せんとする創業時の原点を忘れずに、私たちはこれからの時代のニーズに応え、〝物流人〟として運ぶものをしっかりと見極めていきます」(結城社長)
 この6月に全日本トラック協会の青年部会長に就任した結城社長は、人材不足が深刻な業界において「物流」の価値を高め、携わる人への待遇に還元させるべく、従事者の地位向上への使命感に燃えている。
「利益の奪い合いではなく、全ての人がWIN-WINを実感できる関係を築かないと業界が行き詰ってしまう。協会を通じて『小さな声』を集め『大きな声』にして実現させたいですね」
 と結城社長は語る。   

【会社データ】
本社=東京都江東区深川1―6―29
☎=03ー3643ー3701
設立=1923年11月
資本金=9600万円
従業員数=329名
売上高=37億2000万円
事業内容=一般貨物自動車運送、港湾運送、通関、倉庫業ほか
http://www.yukiunyu.co.jp

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