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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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桔梗屋(シリーズNo.1383)

銘菓「桔梗信玄餅」の老舗メーカー
“代々初代”で美味しさ・楽しさの創造に挑戦

中丸輝江 社長

 1968年の発売以来、きな粉と黒蜜をまぶした餅の素朴な味わいと、一つひとつ手包みされる風呂敷包みで人気を博す、山梨を代表する銘菓「桔梗信玄餅」
 株式会社桔梗屋は、この桔梗信玄餅を柱に歴史を刻む一方、「美味しさ」「楽しさ」を追究する新たな発想で事業を展開し、実績を挙げている。その背景には「代々初代」という理念がある。「各代が初代のつもりで臨めば、過去に囚われず行うべき改革と新しい挑戦が容易になる」という意味だ。常に消費者を飽きさせない企業を目指し、様々な活動を展開している。

 笛吹市の本社工場を「工場テーマパーク」と位置づけて工場見学を常時実施し、お菓子作りの工程を公開している。敷地内に直営販売店、和食店、喫茶店、工場アウトレット「社員特価販売1/2」、「グリーンアウトレット1/2」が併設され、見て、食べて、買い物もできる観光名所として連日多くの観光客が訪れ、大盛況だ。
「ご来場いただいたお客様の楽しそうな笑顔を見る事が何よりの喜びです」
 と中丸輝江社長は微笑む。
 新商品の開発にも余念がない。フランスでの修行経験もある社長の次男中丸純専務が中心となり、2012年には「桔梗信玄生プリン」を発売。その後毎年「桔梗信玄餅」の遺伝子を受継ぐ新商品が次々と誕生し、それぞれ好評を得ている。
 また、拡大する需要に応え、今年、山梨市に新工場を建設する。7月の操業開始を目指して3770坪の敷地に520坪の工場棟と317坪の冷蔵冷凍・一般倉庫棟を建設し、生産体制を拡充する計画だ。

女性目線の経営で
「わくわく」を創造する

 中丸社長は10年7月五代目の社長に就任。夫君である中丸眞治前社長(現相談役)からは「女性の目線で頼む」と経営を託された。中丸社長は新商品の試食の際、製造技術の話には敢えて耳を傾けないという。
「どのお菓子を買うのかを決めるのは多くが女性のお客様です。だから、技術の話よりも“お金を出して買いたくなるほど美味しいか”“友人、知人に勧めたくなる商品か”ということの方が大切です」(中丸社長)
 同社の従業員は工場も販売の現場も女性が大多数を占める。社長が同じ女性であれば相談もし易い。
 12年には、子供を持つ女性が安心して働くために社内託児所「ハイジ」を開設。地域雇用創成にも貢献する。
 また「美味しさ、楽しさ、美しさ、そして健康」をテーマとして取り組む同社の事業領域は、指定管理者を務めるテーマビレッジ「ハイジの村」の運営をはじめ、ブライダル事業、休耕地を活用した農園運営、レストラン、惣菜・弁当店、野菜・花・地域産品の販売など多岐にわたる。
「これからも、美味しいもの、楽しい時間を創造して“わくわく”と“ドキドキ”を提供する企業であり続けたいですね」
 と中丸社長は語る。

【会社データ】
本社=山梨県笛吹市一宮町坪井1928
☎=0553-47-3700
設立=1953年5月

資本金=3000万円
従業員数=700名
売上高=85億円(グループ含む)
事業内容=桔梗信玄餅・和洋菓子の製造販売、飲食店
http://www.kikyouya.co.jp


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