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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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社会福祉法人 孝楽会(シリーズNo.1016)

社会福祉法人の責務を果たす!
真の福祉を追求し、地域社会に貢献


藤田 和夫 理事長

 社会の貧困者や保護を必要とする高齢者・障がい者・母子家庭・児童などの社会的弱者に対する「援護・育成・更正」を、国に代わって組織的に行う「社会福祉法人」。少子高齢化の進行に伴い、その役割はますます重要度を増している。

「しかし、国が描く福祉のグランドデザインに沿った運営を目指している社会福祉法人は少ないのが現状です。現場の職員も自分達が社会から何を求められているか理解していないことが多い。福祉業界は今、大きな転換期を迎えています」

 と警鐘を鳴らすのは埼玉県春日部市でショートステイ・デイサービス・居宅介護支援事業を手掛ける高齢者向け在宅複合施設、孝楽園を運営する社会福祉法人孝楽会藤田和夫理事長だ。

 藤田理事長は北海道出身。プロのドラマーから建設業界に転身し、札幌市で建設会社を25年間経営し、後進に経営を委ねた異色の経歴を持つ。民間企業で振るった経営手腕を買われ、2011年に同法人の理事長に就任した。

 社会福祉施設経営管理論を徹底的に学び、福祉に関する知識やスキルを習得。就任からの3年を「壊す3年」と銘打ち、職員の意識改革に取り組んだ。それが実を結び現在は新事業にも着手。今年4月には施設内に企業内保育所も開設した。

「介護の現場は女性中心の職場。女性が無理なく働ける体制を整えました。職員には子を背負って働くことを奨励しています。1歳になるまで赤ちゃんには母親の心臓の音を聴かせながら育てるのが望ましい。子を背負いながら懸命に働く姿は、高齢者に古き良き日本の光景や自身の若かりし頃を思い起こさせ、生きる活力を得る契機にもなります」

福祉村で赤沼地域を活性化
「ちろりん村」構想

 他にも、新たな試みとして同法人は福祉村「ちろりん村」の立ち上げにも注力。施設に隣接する田畑で野菜や果物を育て、キャンプ場や砂遊び場、ライブや屋外映画を楽しむテラスを設け、高齢者や障がい者、子ども達がともに過ごす――。失われつつある赤沼地域のコミュニティ再生を目指す一大プロジェクトだ。この福祉村を雛形として確立させ、地域福祉のあり方を全国に波及させていく構想もある。

 戦前に銀行員だった父君と浄土真宗の寺院を実家に持つ母君との間に生まれた藤田理事長。2000冊を超える読書量を誇り、父君の思想をもとに物事を追究する一面もある。社会福祉士の国家資格を有する太皷直人施設長をはじめとした、次世代を担う人材の育成にも意欲的に取り組んでいる。

福祉の仕事に携わることは私にとって『天命』。20〜30年後、当施設で育った子ども達が社会に出た時、多様性を認め、弱い立場の人々に分け隔てなく接することのできる人材に育ってほしい。それが私の夢です」
 新しい福祉のかたちを提案する新事業への準備も進行中。今後も真の福祉を追求していく心積もりだ。

【会社データ】
住所=埼玉県春日部市赤沼295
☎=048―739―3222
設立=2000年10月
事業内容=在宅複合施設の運営(ショートステイ・デイサービス・居宅介護支援)
http://www.korakukai.jp

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