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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

セイビ (シリーズNo.1616)

堅実経営と確かなサービスで創立60周年
グループ売上高340億円 総合ビルメンテナンス企業

 
島田 四郎 会長

 オフィスビルやホテル、商業施設など多くの人が集まる建物には清掃業務が欠かせない。清掃が行き届いた空間は清々しく、そこで過ごす人々の心を豊かにしてくれる。

 総合ビルメンテナンス企業の株式会社セイビが創立60周年を迎えた。1958年の創業時はオフィスの社内清掃は社員が担い「ビルメンテナンス」の概念が乏しい時代。そのような中、創業者の小布施志郎氏は終戦直後に進駐軍が行なっていたアメリカ式の清掃管理方式に着目し、 ビルの清掃事業に乗り出した。64年の東京五輪では東京ビルメンテナンス協会員として6千人もの選手を収容する選手村の業務も受託。世紀のスポーツの祭典を下支えした。
「日本にないビルメンテナンス業に成長性を見出し、大手企業のビルメンテナンスを手掛けたのが原点。創業時より良いお客様に恵まれました」(島田四郎会長)
 島田会長と関口清臣社長は75年の同期入社。学習院大卒で不動産会社から転職した島田会長と、日大卒で大卒1号社員の関口社長は、時代の変遷とともにビルメンテナンス業の在り方を模索しながら共にひた走ってきた。その道のりは必ずしも、〝順風満帆〟とはいえず、山あり谷ありだったという。

「2006年の社長就任時、最盛期で140億円あった売上が89億円と3分の2まで落ち込む中での社長交代でした。しかし、売上がダウンしたからといって社員の給料を下げるわけにはいきません。経営の効率化をキーワードにさまざまな手を打ちました」(島田会長)
 長年苦楽を共にしてきた関口社長が「決断と実行の人」と評する島田会長は、会社の低迷期に自ら陣頭指揮を執って組織改編・業務改革を推進。その一つが労務費の見直し。それまで8時間労働だった社員の雇用を、パート従業員を活用することで人件費に占める間接費を圧縮。一方で、設備投資は惜しまず、最新の機械を導入してサービスのクオリティを維持しつつ業務効率の更なる向上に繋げた。そして、経営が厳しい中でも、社員の士気を高めるために、09年、現在の本社屋を竣工した。
 ひと口に「ビルメンテナンス」といっても、「ビル清掃」と「マンション管理事業」では法律や監督官庁は異なる。業務を通じて身に付けた専門知識も人事異動で新たな部署に移れば一から習得することもある。
「業界はここにきて急に様変わりしています。大型の再開発物件もあれば、商業施設、複合ビル、リート物件もあります。所有も個人・不動産会社、投資会社があり、建物によって求められるサービスや対応もさまざまです」(関口社長)
 そこで同社では、得意分野の仕事を深め、専門性を高めるねらいで専門領域が異なる事業を分社化した。さらに、地方拠点についてもそれぞれの地域特性を考慮して、拠点ごとに分社化を推進。M&Aも積極的に展開することで、18年現在、セイビグループとして17社、総売上340億円の一大グループに成長した。
 また、以前は「大人数を管理する難しさ」といった理由で積極的ではなかった「ホテル施設管理事業」に注力。この「ホテル施設管理事業」の売上は、いまや売上構成比の2割を占め、取引先には誰もが知っている一流ホテルが名を連ねる。そして同社では、これらホテルが求める高品質のサービスを維持するため、人材育成に最も力を注いでいる。
「本社2階の研修室の一角に高級ホテルの客室を再現しました。設備もアメニティもすべて実際に使用されているものです」(島田会長)
 忠実に再現したホテル客室でのルームメイド研修は、同業他社では見られない異色の取り組み。同社では、座学に始まり、ホテル仕様の研修用客室でのOJTを組み合わせた研修を行い、技術・技能の習得はもちろんのこと、セイビならではの「人の質」が感じられるサービス提供を徹底的に教え込む。さらに業界では珍しく全社員を対象とした「職能資格制度」を導入。清掃職でも5等級に区分・序列化された制度は、社員が業務を行う上での目標となりモチベーションを高める役割も果たしている。
「一般企業の中には、エンドユーザーの顔が見えない仕事もあります。その点、ビルメンテナンスはお客様の評価をすぐにいただける仕事。そこにやりがいがあります」(関口社長)

社員が紹介したくなる
会社づくりを実践



「企業が生き残るにはニーズを的確にとらえて時代の変化に即応することが必要不可欠」
(関口社長)

 ビルの建築からリフォームまでワンストップで対応する同社。今後は、不動産を所有者に代わって運営・管理を行い資産価値と収益性を高める「プロパティ・マネジメント」に力を入れていく。
 また、企業にとって人材確保は事業継続のための大きな課題。同社では、不足する国内の労働力を補うために外国人労働者の活用も積極的に行っている。現在、ホテル施設管理事業を担う従業員1000人のうち、6割を19カ国の外国人が占めている。
「在留資格やビザの期限管理、労働時間の問題などコンプライアンスを遵守することはもちろんですが、言語や慣習の違いなど外国人材の活用で対応すべきことはさまざまです。当社の日本語マニュアルを外国人従業員の母国語に翻訳してサービスの均質化に努めています」(関口社長)
 創立60周年を迎えた今、さらに100周年を見据えて「我々は中継ぎ。人は必ず年をとるが、会社は万年青年でなければならない。そして、社員が安心して働ける会社にして次の世代にバトンタッチしたい」と口を揃える島田会長と関口社長。社員が知り合いに「セイビで働こう」と紹介したくなる会社である。


【会社データ】
本社=東京都中央区日本橋人形町3―3―3
☎=03―3664―8821
設立=1958年4月
資本金=6000万円
売上高=99億円
事業内容=ビル総合管理業務、ホテル客室整備業務、プロパティマネジメント業務、大規模修繕・大型改修・専有部分のリフォーム等の工事全般等
http://www.seibinet.com


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