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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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ツジ・キカイ㈱(シリーズNo.975)

イタリア人もびっくり!
世界を席巻する純日本製ナポリピッツァ用石窯
  山根 証 社長

 イタリア南部の都市、ナポリの伝統食として300年超の歴史を有する「ナポリピッツァ」。その最大の特徴は〝焼き〟にある。
「ナポリピッツァの理想の焼成時間は90秒。本場ナポリでは高温に熱した薪窯で素早く焼き上げられます」
 と、埼玉県川越市に本社を置く製菓製パン機械メーカー、株式会社ツジ・キカイの山根証社長は説明する。
 そのおいしさから、ピッツァマルゲリータを筆頭に日本でも親しまれているナポリピッツァ。だが、薪窯の導入コストは付帯設備工事も合わせて1000万円近くになることもある。場所の制約や法の規制などもあり、いまだ専門店の数は多くないのが現状だ。
「ナポリでは、ピッツァはかけそばほどの値段で食べられる大衆食。一方、設備投資や材料の問題もあり、日本では1000円を超える場合が多い。本場の2倍以上です」(山根社長)
 ナポリピッツァをもっと身近に。そんな想いで、同社は高温でも割れない専用セラミックの研究を重ね、ガス式石窯の開発に成功。そして今注目されているのが、電気式ナポリピッツァ用石窯「eNAPOLI」だ。
 ナポリピッツァの命である焼きのクオリティは、薪窯のそれと同等以上。コンパクトで置き場所を選ばずメンテナンスも容易。価格は100万円以下で、ランニングコストも安く済む。
「私達が提案するのは『ピッツェリーア&バール』。専門店だけでなく、イタリア人の生活に密着した『バール』のような身近な場所、色々な業態で気軽にナポリピッツァを味わえるようにしたい」(山根社長)
 ある焼鳥店では〆としてナポリピッツァを提供。これが大評判となり、後に人気店になったケースもある。本場のナポリピッツァ職人もその味を認め、さらに中国・韓国・台湾・マレーシア・香港などアジア各国からも引き合いがある。
 山根社長は明治学院大学の音楽サークルで夫人と出会い卒業後に結婚。富士通の子会社で営業として活躍した後、28歳で夫人の父親が経営する同社に移った。

ヨーロッパが長年育んだ
「食の芸術」を伝え広める

 入社後は約2年間ミラノに駐在。現地の歴史や食文化に触れ、パン菓子用オーブンの開発に携わった。ヨーロッパをこよなく愛した2代目社長の辻眞須彦氏の薫陶を受け、紆余曲折を経て03年に代表取締役就任。一貫して「究極の純日本製石窯をつくる」をテーマにブレない経営を続けてきた。
 ヨーロッパの食文化の素晴らしさを伝え広めるべく、ナポリピッツァ職人世界選手権優勝者の牧島昭成シェフとのコラボを通じて、ナポリピッツァの魅力を伝えるセミナーや活動をしている山根社長。新たなコミュニケーションの場として大阪に堂島ラボも開設した。
「目指すのは大きい会社ではなく強い会社。ナポリピッツァ職人の地位を確立するサポートも続けていきたいですね」(山根社長) (森)


【会社データ】
本社=埼玉県川越市芳野台1―103―11
?=049―225―5005
設立=1948年12月
資本金=1466万1000円
従業員数=23名
事業内容=製菓製パン機械・フードサービス機器の企画・開発・製造・販売
http://tsuji.co.jp

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