辛子明太子に続き『めんべい』が大ヒット!
創業100年を超えて、総合食品メーカーへ
山口 毅 会長
博多名物・明太子の「福太郎」で馴染み深い株式会社山口油屋福太郎は、明治42(1909)年の創業から今年3月で111年目を迎えた。同社はその名の通り、てんぷら油や髪油、馬車の油などの販売から事業をスタートし、それまでにはなかった透明な白絞油「水晶油」の開発を経て、今日に至る発展の基礎を築いた。
1955年に有限会社山口油屋として法人化した同社は戦後、食品流通に革命をもたらしたスーパーマーケットの台頭により、油専門の商売に限らず業務用食品全般を取り扱う総合食品卸業者へと大転換を図った。
明太子を産業に
業界と地域に貢献
山口会長が四代目社長として就任した75年に同社は株式会社に改組。現社名となった84年当時は、業界全体で明太子の売上が急成長する一方で、メーカーが乱立し、品質もまちまちな商品が出回った。山口会長は明太子業界の社会的地位の向上を目指し、「全国辛子めんたいこ食品公正取引協議会」設立の音頭を取ると、内容量や外箱包装の規制を設け、秩序ある販売を確立させた。
このような活動が評価され、山口会長は98年に「農林水産省食品流通局長表彰」、2000年には「中小企業振興県知事表彰」などを受け、 05年には明太子業界では初の黄綬褒章を受章。
「業界のレベルを高めるために、味の競争はどんどんしていくべき。明太子といえば博多と言われるのは、やはり美味しいからですよ。業界全体がオリジナルの味を追求し、丁寧に精製していますからね」(山口会長)
また、賞味期限の短い明太子に対し、同社が「日持ちの良い商品を」と新たに開発したのが『めんべい』だ。 福太郎自慢の明太子、そしてイカやタコの新鮮な海の幸を練りこんだ奥深い味のおせんべいは、ネットをはじめ口コミによってブレイク。今では福岡土産の定番として親しまれている。多彩な味でシリーズ展開し、 地域の名産を使った『ご当地めんべい』も話題だ。
「将来的には『めんべい』にこだわらず、各都道府県・全国の美味しいものを組み合わせた商品をその地域限定で販売していきたい」
と山口会長は意気込む。
顔が見える商売
社員でなく「家族」
平成に入ると同社は新規事業として福岡市天神の一等地に「天神テルラ」をオープン。レストラン、カフェ、宴会場などが全7フロアに集結した新しい食のテーマパークは、「実際にお客様の顔を見たい」という同社の〝思い〞からスタートしたという。全て直営する店舗は、時代のニーズを敏感に取り入れながら、オープンから20年を経た今なお盛況だ。
飲食店の運営によって料理人やスタッフが揃い、支配人レベルの優秀な人材が育ったことで、同社の事業は温浴飲食施設という新たなジャンルへの進出に発展した。
「湧水千石の郷」(福岡市早良区)、「筑紫野天拝の郷」(筑紫野市)はそれまで赤字経営だった温浴施設のレストラン機能をグレードアップさせることで、今までにない施設として魅力を発揮し、 早々に黒字化させた。
特に同社のトップレベルの料理人が監修するビュッフェ「姫蛍」は、和洋折衷の70種類の豊富なメニューが評判を呼び、平日でも盛況。一度では食べきれない種類のビュッフェが2カ月替わりで楽しめるのだから、リピーターは絶えないはずだ。
「今の時代、お客様は本当に美味しいものを知っています。食べ物を美味しくすると、お客様は来てくださるのです」(山口会長)
「社員は家族である」という考え方から、同社の本社入口には社員全員の表札が立てかけられている。
「私が入社した頃はまだ 『家族』は6人でしたが、今では約650人もの『家族』に支えられています。人を愛する気持ちを持っていれば、たとえ私が怒った時でも言うことを聞いてくれる。家族のように長くお付き合いをしながら、気持ちを一つにして頑張っていきたい」
と山口会長は語る。
【会社データ】
本社=福岡市南区五十川111
☎=092 475 7777
設立=1909年3月
資本金=1000万円
従業員数=約650名
売上高=133億8000万円
事業内容=業務用食品・食材卸売、辛子明太子製造、 小売・菓子製造販売、飲食施設・温浴施設の運営
https://www.fukutaro.co.jp
ブログ内検索
業種一覧
新着記事
運営会社
P R