ものづくりの現場を支える「FA道一貫」への道
竹ノ内 健二 社長
製造業にとって永遠の課題は生産コストである。国際競争が激化する中で、人手に頼っていた生産のあり方を改め、「全自動」に近い生産ラインを構築して、高品質な商品を安く効率的に供給することが必要である。 人手不足が深刻な問題となってきた日本の産業界において、FA(ファクトリーオートメーション)の技術に期待が寄せられている。FAとは、様々な作業や工程を機械や情報システムを用いて自動化させること。現在、食品、車などあらゆる分野でFAが活用されており、より高度なシステムの構築が求められている。「『自動化』することで、生産に関わる人の仕事を楽にすることができます。『自動化』は、単に生産性を上げるだけではなく、3K(きつい・危険・汚い)を回避させ、時間的価値を生み出します。そして、もっと価値の高い仕事に専念できるようになります」 こう話すのは「FA道一貫」を社訓に掲げる株式会社シリックスの竹ノ内健二社長。同社は、三重県有力企業の泗水電機㈱と㈱三鈴エリーが資本参加し、1983年に創業した制御系電気設備会社だ。
「労働力不足と後継者不足により、日本の中小企業の1/3がなくなると言われています。厳しい時代を生き抜いていくためにも、私どもは『自動化』という切り口でお役立ちしていきたいと考えています」(竹ノ内社長) 同社は創業以来、制御盤などの電気設計とPLC(プログラマブルロジックコントローラ)の設計をメイン業務としてきた。PLCとは、リレー回路の代替装置として開発された制御装置のことで、工場などの自動機械の制御に使われるほか、エレベーター、自動ドア、ボイラー、テーマパークの各種アトラクションなど身近な機械の制御にも使用されている。「当社では、全メーカーのPLCに対応することができます。メーカーが持っていない古い部品であっても、当社ではかなりの在庫を管理していますので、すぐに交換することができます。中小企業にとっては、1社ですべてを任せられる設備屋があると助かるのです。また、クライアントからロボットを導入したいというご意見を頂戴し、ロボット分野にも取り組んでおります。あらゆる自動化システムをトータルで提案できる企業を目指しています。これが『FA道一貫』です」(竹ノ内社長) 同社は電気部門、ソフトウェア部門、ロボットシステム部門による〝三位一体〟のプロ集団により、多角的なアプローチや柔軟な対応が可能な体制作りをした。このFA一貫サービスを提供していくために、各部門の技術と技能を融合してコンサルティングから設計・開発・運用・保守・管理までをトータルに行うことができるシステムインテグレータの育成に力を入れている。ロボットメーカーからも最適なロボットを選定してクライアントに提案できるシステムインテグレータが求められており、三菱電機㈱、オムロン㈱とはパートナー契約を結んでいる。2017年には、日本ロボット工業会の「ロボット導入促進のためのシステムインテグレータ育成事業」にも採択され、同社の役割はますます大きくなってきている。FA道一貫を究める新しい仲間を募集「2020年の東京オリンピック後を見据えてシステムインテグレータを増強したいと思っています。新卒はもちろん、60歳以上の人でも意欲と技術さえあれば、積極的に採用していきたい」と話す竹ノ内社長。現場のダイナミックさと技術者たちの情熱を求人ポスターに大胆に表現し、採用活動に意欲を見せる。 入社後は6カ月間の社会人研修を行い、色々な部門で現場を体験できるという。研修を終えた新入社員は3部門のいずれかに所属し、その道を究めていく。各部門では、一体どのような業務につき、どのようなスキルが身に付けられるのだろうか。各部門を紹介する。①電気部門―様々な制御部品に精通し電気設計から現場工事までこなす。第一・二種電気工事士・電気工事施工管理技士の資格を取得し、電気回路図面CAD設計、制御盤設計、施工などの技術を習得可能。②ソフトウェア部門―多くのシーケンス回路を使いこなし、FAの制御に欠かすことのできないソフトウェアを設計する。国内全メーカーのPLCソフト・タッチパネル設計、他メーカー・旧機種からのPLCリプレース技術を習得可能。③ロボットシステム部門―工場の省力化・無人化を実現するため、あらゆる産業用ロボットを扱い、最適なFAを提案する。ロボットティーチング作業、ロボットハンド設計、国内全メーカー製ロボットの各種プログラム設計を習得可能。 各部門に所属しながら、FAに必要なハードウェア、ソフトウェアに関する全ての工程を理解していく。そして、将来的には「一生涯通用するFAの技術」を身に付けることができる。他業種と共同研究し新しいロボットシステム等を開発 現在の産業用ロボットは、本体にプログラミングを施して動かすものであるが「IT技術を利用してロボットを動かしたい」など新たなニーズがある。同社はそういった声に応えるため、県内の企業と連携して、新しい技術の開発に積極的に取り組んでいる。「これからの時代、会社が存続・発展していくためには、他企業と連携しながら、ともに成長していける関係を築くことが大切だと考えます」(竹ノ内社長) 同社は、三重県内の9つの企業からなる「みえ医療機器コンソーシアム(三重TLO)」にも参加。同コンソーシアムが着目したのが「次世代脊椎インプラント」だ。現在、国内で流通している「脊椎インプラント」の9割は海外製だ。そこで、厚生労働省の次世代指標に基づく「脊椎インプラント」の開発に、三重大学や三重県工業研究所の協力で開発に乗り出した。同社では開発に必要な「データ評価装置」を製作し、ロボット技術を応用させている。 他にも、RFID(無線通信技術)の金属対応無線ICタグ装置など特許を一部譲渡取得し、FAの融合システム開発にも取り組んでいる。「今後は自社ブランドの製品を作りたいと考えています」
と竹ノ内社長は語る。
18年に35周年を迎える同社。生産現場を知り尽くし、常に進化を続けていく。 【会社データ】本社=三重県四日市市小古曽東2―9―40☎=059―345―3211設立=1983年8月資本金=1000万円売上高=6億2700万円事業内容=PLCソフト設計、制御盤・操作盤設計、生産ライン・各種専用機の制御設計・製作、ロボットシステム設計・施工http://www.serix.co.jp
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