1万年分の〝資源〟を未来に!
「メイド・イン・岡山」の高品質石灰石メーカー
東 喜則 社長
自給率100㌫の天然資源として、日本において類稀な存在感を放つ石灰石。セメントの原料として知られる石灰石は、産業用製品のみならず医療や食品の分野にまで、品質に応じて多岐にわたる製品の原料として使われている。衣・食・住、思いがけないところでも私たちに馴染みの深いマテリアルだ。
この石灰石の埋蔵鉱量を100億㌧以上をも有する企業が岡山県の中西部・高梁市に本社を置く株式会社カルファインである。
「深さと面積から換算した金平工場(広島県神石郡)、山宝工場(岡山県高梁市)の推定鉱量は、少なめに見ても合計で125億㌧になります。現在の月間平均出荷量から換算すると、およそ1万年分に及びます」
と東喜則社長は語る。同社の強みは、この無尽蔵な埋蔵鉱量だけでなく、国内でも最高級クラスといえる「鉱質」にある。
〝デキる〟を伸ばす
「加点」を重視
東社長は就任後、働き方改革の一環として、人事査定・評価基準に「成果主義」を柔軟に取り入れた。幹部に大きな裁量を与え、自らの課題に向き合う状況を導き、結果に対して「加点」を与えていく制度は〝デキる〟社員にとって、大きなやりがいを感じる環境だ。
「〝信賞必罰〟とはいいますが、『賞』に対しては一般的にも評価され難い状況があるように思います。年齢・性別を問わず『成果』を重視して、加点方式によって積極的に『前へ』進もうとする社員の背中を押していきたい」(東社長)
社是の一つ「自律第一」は、「自ら『考え、しゃべり、計画し、行動する』自己完結型人間を目指す」というもので、同社が醸し出す社風を色濃く反映している。
「お客様のためになることであれば、上長の指示がなくても、各々が自分の判断で迅速に動くという考え方は徐々に浸透し始めてきています」(東社長)
そんな同社の〝素顔〟が昨年7月、不測の事態に真価を発揮した。「平成最悪の水害」と言われる西日本豪雨である。
当時、最も被害の大きい地域として倉敷市真備町の状況が連日報道される一方で、同社が本社を置く高梁市周辺もまた、同様に深刻な被害を被った。
「幸い社員とご家族の命に別状はありませんでしたが、水位は山宝工場までスレスレという危険な状況でした。坑内に水が入り、崩落により鉱山道路がえぐられる事態で、現場までたどり着けない状況。しかし、翌日には私はもちろんの事、幹部社員が現場に入り、若手社員が中心になり、4㌧トラックにショベルを積んで遮断された道路に出向き、数日間に及ぶ応急処置で、文字通り道を切り拓きました。一方、金平工場においては雨水により坑内水が激増し、最下層が水没しました。しかしながら、若手社員が中心になり、自分達の知恵・力を出し合い、昼夜問わずポンプアップを進め、約1カ月で現状回復に努めることができました」(東社長)
近隣を走るJR伯備線が復旧するまでに一カ月がかかり、道路の補修は現在も行われている。
「仕事でなく『使命』と心得ていないと、あのような咄嗟の行動はできないと思います。数カ月はかかるかもしれないと想定していた私たちの業務復旧はとても早かった。頼もしかったですね。うちには強者が揃っています」(東社長)
「産地競争」を
将来のビジョンに
「私たちの仕事は、常に危険を伴う一面があります。災害や保安については保安衛生委員会を設け、30代・40代の社員が軸になってディスカッションしながら、恒久的な課題として細心の注意を払っています」
と話す東社長は、人の上に立つ人間として「仁・義・礼・智・信」に加え、「勇・厳」をモットーに挙げる。
「決断力には洞察と衆知、さらには毅然とした態度と覚悟が必要。全てにおいてストイックでありたい」
今までどおり、そしてこれからも変わらないことは、岡山県の鉱山で採れた原石を岡山県の人間が創る――。地域の経済活性化の根本を支え続けられる会社でありたいと東社長は考える。
「人も物も『メイド・イン・岡山』。価格競争ではなく〝産地競争〟が将来のビジョンです。いろいろな石灰石や重質炭酸カルシウムが日本中にありますが、『やっぱり岡山のモノは良い、岡山でもカルファインの石灰や重質炭酸カルシウムは特に良いよ』と言われ続ける会社でありたいですね」
と東社長は語る。
【会社データ】
本社=岡山県高梁市松原通2111-3
☎=0866-22-5601
創立=1955年1月
資本金=3000万円
従業員数=60名
売上高=26億1000万円
事業内容=石灰石製造販売
http://www.calfine.co.jp
※同社の坑内堀りの様子はプロモーションビデオ(YouTube)で見ることができる。
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