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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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特別企画「長州が生んだ人と企業」

魚肉加工一筋で50余年
食の安全を支えるのは〝従業員〟


富山 勉 社長

 
 本州の最西端に位置する山口県下関市。玄界灘を望むこの地に居を構え50余年、かまぼこを中心とした魚肉練り製品を作り続けてきた会社がある。それが冷凍食品大手・ニチレイフーズのグループ会社である株式会社中冷だ。

「当社は、業務用の冷凍魚肉練り製品に特化した加工会社です。長年培ってきた技術と品質には自信を持っています」と話すのは富山勉社長

 同社を語る上で欠かせないのが、自社ブランド展開だろう。定番の半月かまぼこはもとより、花形かまぼこ、カニ風味かまぼこから、おでん用の揚物やナルト、チャンポン用かまぼこ、サラダ用かまぼこなど多種多様なバリエーションを揃えている。

 中でも、同社の凍結技術を駆使し開発した「IQF製法」による製品は顧客からの評価が特に高い。
「スライスしたかまぼこをばらばらの状態で凍結しています。これは衛生上非常に高度な技術が要求される独自の製法です」

 もちろん、食感やおいしさにもこだわり、他では真似できない生産ラインと特殊配合を完成させ、今では「チルドと同等以上」と言われるまでに至っている。

 簡便性とおいしさの両面を兼ね備えた「チュウレイ」ブランド。誰しもが一度は口にしているであろうあのかまぼこは、この地から生み出されているのだ。
 
満足度の向上を目指し
従業員が自慢できる会社へ
 
 一昨年4月、代表に就任した富山社長。まず着手したのは「従業員満足度」の向上だったという。

「良い製品を作るには、従業員が働きやすく、よりやりがいを感じ、自分の会社を自慢できるような環境を整えることが大切です。実際に製品を作っているのは私ではなく現場の従業員たちですから」

 社内設備の充実をはじめ、富山社長自身が現場の従業員だけでなく、実務を行うパート社員とも定期的に話をする機会を設けるなど、その理念は徹底されている。

「トップが堂々とメッセージを発信することで理念は必ず共有できると信じています。『安心』という信用を獲得するため、科学的根拠がしっかりとした『安全』を追求していきたい」

 工場内の機械メンテナンスや定期点検、衛生検査、原材料受入検査、製品官能検査、理化学検査といった万全の品質管理体制を構築するとともに、「気づき」を促す従業員の意識付けにも注力する同社。

 同時に、「下関花いっぱい計画」へのボランティア参加や、地域の子供たちを工場に招き、工場内でのキッズツアーを行うなど地域への貢献活動にも余念がない。

 「目下の目標は売上50億円です。さらには、存在価値を高めながら100年続く会社へ成長していければ嬉しいですね」と展望を話してくれた富山社長

 顧客のために、従業員のために、そして地域のために。私たちの食を陰から支える姿は、すでに下関の誇りになりつつある。
 
【会社データ】
本社=山口県下関市彦島西山町4―10―6
☎=083―266―4103
設立=1960年10月
資本金=2億円
従業員数=300名
事業内容=業務用練り製品の生産・販売、冷凍食品の受託生産

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