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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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熊野技建(シリーズNo.1519)

広島県〝筆の都〟熊野町とともに40年
研究開発型のリサイクル企業


小田原 卓哉 社長

   広島県熊野町。国内生産量の約80%を占める〝筆の都〟としてご存知の方も多いだろう。
 株式会社熊野技建はここ熊野に根を張り40年、地元の発展に尽力してきたご当地有力企業である。創業の生業である土木事業では、道路改良工事、トンネル、公園など、次世代へ夢をつなぐ社会インフラの創造に貢献。
「土木建設・建築業は多くのものを造り出します。しかし一方で、工事をするたびに出てくる産業廃棄物の取り扱いに疑問を感じていたのも事実です。自分たちが率先して何かをしなければ。その答えを導き出したのが先代社長(現会長・小田原和彦氏)であり、それがリサイクル事業の始まりでした」と話す小田原卓哉社長



資源の有効利用を追求
県内初の取り組みも

 同社のリサイクル事業は1986年に広島県内初となる再生砕石製造工場としてスタート。各種建設、解体工事などから発生するコンクリート、アスファルト廃材を破砕、選別して再生砕石を製造する。この再生砕石は主に土木資材として広く利用されている。
 また2003年には、汚泥を対象としたリサイクル事業を開始した。当時、汚泥リサイクルの技術が確立されていない中、小田原社長陣頭指揮のもと、若い研究開発スタッフとともに試行錯誤を繰り返し、約4年の歳月を経て、汚泥を安価で確実に再生利用可能な製品へと転換できる汚泥再資源化システムを開発した。
「建設系産業廃棄物で最も多く出るのが汚泥です。私が当社に入社したのは、この汚泥の問題を解決したかったからです」。だからといって小田原社長はバリバリの研究者ではない。むしろ文系出身の素人だ。
「専門家でなくても、疑問に思っていることに対し常に五感を働かせていれば、キラリと光るアイデアがひらめくはずです」
 さらに2009年からは、火力発電所から排出される「ばいじん(=石炭灰)」のリサイクルも開始するなど、廃棄物処理技術の発展と推進に余念のない同社。
 他にも同社には、公共の教育施設・文化施設の耐震補強工事や改修工事などを行う建築部、宅地造成開発や不動産の売買・賃貸の仲介業務などを手掛ける不動産部がある。
 部署が多岐にわたるにつれコミュニケーション不足に陥った時期もあったが、現在では「世代別食事会」や「日帰り旅行」で風通しも良くなっているという。
 40周年の節目を迎えるにあたり社是に『実』と定めたいという小田原社長。〝現実〟を見定め、自分の目や心で〝実感〟し、〝実直〟に物事にあたり、努力を〝結実〟させる。全社員が「実」の一文字を胸に刻み、今後も地域住民に愛される会社を目指していく。   

【会社データ】
本社=広島県安芸郡熊野町初神1―10―8
☎=082―854―4344
設立=1978年8月

資本金=3000万円
従業員数=70名
事業内容=建設事業、リサイクル事業、建築業、宅地建物取引業
http://www.kumanogiken.com 

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