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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

クローネ(シリーズNo.1528)

ユーザーフレンドリーを極める計測器メーカー
輸入商社からオンリーワンの技術者集団へ進化


藤原 透 社長

 世界に冠たる日本のモノづくりに無くてはならない様々な計測器。しかし、その高い精度や機能性とは裏腹に、メイド・イン・ジャパンの計測器の外観はどこか堅苦しく味気ないものばかり。そんな計測器に対する従来の概念を覆し、デザイン性と利便性を兼ね備えたオンリーワンの製品を開発しているのが株式会社クローネだ。
「極めて技術レベルが高い日本のモノづくりで、品質だけで他社に差をつけることは難しい。私たちはデザインでも勝負し、手軽さと便利さで喜ばれる『ユーザーフレンドリー』なモノづくりを追求しています」
 と話す藤原透社長は東海大学を卒業後、ドイツに本社を構える外資系の大手総合エンジニアリング企業に勤務。日本のテレビが電子チューナー式に切り替わる当時、営業の第一線に立って多大な功績を収めていた。
 その営業成果の見返りとして、藤原社長は部品事業部の研究所設立を準備するため、ドイツ本社に1年半出向。そこで、ヨーロッパのモノづくりで用いられる計測器の美しさと〝遊び心〟に魅了されたという。
 帰国後に独立を決意し、欧米各国の有力メーカーから電子部品や計測器等を輸入して販売する、海外輸入商社として同社を設立した藤原社長。40年に迫る業歴は順調なスタートを切り、クライアントからの信頼を着実に積み上げてきた。


 しかし、21世紀に入ると状況は一変。インターネットが急速に普及し、クライアント自身が海外製品を容易に直接購入できる環境が整ったのだ。商社としての強みが薄れていくことに危機感を抱き、藤原社長はメーカーへの業態転換を図る。
「センサや素子を安価で入手できる商社としての機能を発揮すれば、お客様のニーズに最適で他社にはない製品を作ることができると確信しました」(藤原社長)
 この時、既に半導体製造装置に搭載する微差圧計の開発・製造を外注していたこともあり、少しずつメーカーとしてのノウハウを蓄積していた同社。専門技術職も採用し、本格的にメーカーへの業態転換を進める中で、設計段階から全て自社で開発したデジタル微差圧計「KS2900」は、年間販売台数が2万台を超える大ヒットを記録した。
 
グッドデザイン賞受賞
世界規模で特許を取得

 そして、同社の代表的製品として抜群の人気を集める高精度デジタル圧力計「KDM30」が開発されたのは2009年。藤原社長が掲げる「ユーザーフレンドリー」を見事に具現化した画期的な圧力計は同年、計測器として稀有な「グッドデザイン賞」を受賞した。 
「外部のデザイナーとも契約し、当初から受賞を狙っていました。カバーも『青』『赤』『黄』という3つのカラーバリエーションを採用し、見た目が美しいだけでなく、現場で用途ごとに色分けすることもできます」
 と話す藤原社長。開発に至る背景には、前職で航空機エンジンの検査装置の組み上げなどに立ち会った際、設置された圧力計の使いづらさ、数値の読みづらさなどを痛感した経験があったという。
 その経験をヒントにして開発した機能が、330度の表示角度と首振りを実現した「フレキシブルディスプレイ機構」。取付け位置に左右されずに数値を正確に読み取れる「フレキシブルディスプレイ機構」は国内だけでなく、アメリカと韓国でも特許を取得している。
 ガスや液体との接合部には腐食しにくい「SUS316L」という材質を採用し、空気・水・油といった計測対象物の媒体ごとに圧力計を使い分ける必要が無い。この高い汎用性によって「圧力レンジ」の広さも実現。缶詰内部の負圧計測も可能で、またタイヤ圧等の空気圧計測から水圧、油圧等の超高圧計測まで幅広い圧力に対応できる。
 また、省エネの観点から液晶ディスプレイを採用し、従来の針ではなく、デジタルの数値で表示する「KDM30」。有線はもちろん、「Bluetooth」などの無線を使って測定データを瞬時に送信できる比類ない圧力計だ。4年前には、東京商工会議所から「葛飾ブランド『葛飾町工場物語』」に認定されるなど、同社の技術力は大きな注目を集めている。
  
4つの理念を貫いて
IoT時代を〝測る〟

 1980年の創業以来、圧力だけでなく、流量や温度、加速度などあらゆる「測る」を独創的な製品でサポートしてきた同社。〝存続〟と〝進化〟を掲げる「企業理念」に「開発理念」「行動理念」「幸福理念」を加えた4つの「理念」を貫きながら、新たな時代のニーズにもチャレンジしていく。
「どこよりも早くお客様の要望を掴み、お客様の立場に立って提案する。どんなに難しいオーダーでも、やってみなければ何も生まれません。ゆっくり作るなら、どの会社でも出来ます」
 と語る藤原社長が注目しているのは「IoT」。大手コンビニチェーンらとプロジェクトを組み、積雪の重量・深さを計測・データ分析し、降雪時の最適な物流ルートを確立するシステムの開発にも取り組んでいる。
 今後は、各製品のモデルチェンジや短納期のニーズに応えるインターネット販売の開始も視野に入れる藤原社長。3年後、5年後に開花する事業の軸を見出すため、新たな人材の確保と教育にも力を入れている。
「商社としての製品の選び方と、メーカーとして着目すべきポイントの双方を教えています」(藤原社長)
 同社が追求する「ユーザーフレンドリー」こそ、日本が目指す新しいモノづくりの原点ではないか。   

【会社データ】
本社=東京都葛飾区東新小岩3―9―6
☎️=03―3695―5431
設立=1980年2月
資本金=2000万円
社員数=25名
売上高=8億円
事業内容=自社製デジタル圧力計及び各種試験装置・検査装置の開発製造販売、各種センサ及び電子計測器の輸入販売など
http://www.krone.co.jp

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