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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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神酒連(シリーズNo.1474)

組合連合会から生まれた酒類総合卸業者
蔵元の思いを届け続けて60余年の信頼感

 
小島 淳二 社長

 6月1日から酒税が改正された。量販店やディスカウント店の過剰な安売りを防ぎ、中小規模の酒屋に競争力強化と経営の安定化を促すことが狙いだ。
 こうした環境変化の岐路に立ち、飲酒人口の減少も予測される酒類業界の中で60年以上、地場卸業者として神奈川県内における確かな存在感を放ち続けているのが株式会社神酒連である。
「名だたるメーカーと信頼関係を醸成できているのは、先輩方が全国の蔵元を訪ね歩いてきた結果。作り手の商品に込める思い、『実直に綺麗な商品を作っている』という情熱、背景にある物語性を消費者に届けることが当社の使命です」 
 と話すのは、同社8代目の社長として4年目を迎えた小島淳二社長。メーカーと販売店を繋ぐ卸業者でありながら、視線の先には常に消費者の姿がある。


 1953年2月に現行の酒税法が制定され、6年後の改正によって販売業免許が卸売業と小売業に分離された。同社は、この50年代に巻き起こった業界の変革に合わせ、県内約5000社が加盟する小売店の組合の連合会として発足。「神奈川県酒類協同組合連合会」が現社名のルーツである。
「酒類販売は50年来、法律に守られてきた業界。規制緩和された後は、各社が価格競争をしながら取引先との信頼関係を保っています。当社も社員と株主・お取引先を大事にする社風を守りながら、若返りと体質改善が必要だと考えています」 
 と、小島社長は語る。
 全国の有力銘柄を取り揃える日本酒・焼酎の特約が同社の大きな柱。一昨年には、かの「八海山」が同社の創業60周年を記念し、限定醸造原酒を生産したことからも信頼の厚さが窺える。
 また、20年程前からオーストラリア・ティレイズ社のワインを輸入販売している同社。航空機のファーストクラスで提供されるなど、品質の高さは折り紙付きだ。
 一昨年8月には、神奈川県産のオリジナル柑橘果汁「湘南ゴールド」を使用した新商品「湘南ゴールドサワー」を発売。大ヒットした同商品を皮切りに、今後も「県産」にこだわった、独自の商品開発に積極的に取り組んでいく方針だ。

販路拡大と新事業へ
物流人材の確保図る

現在、県内主要地区に事業所を構え、小売店やコンビニエンスストアなど合わせて3700社程の販売網を確立している同社。交通網の発達に合わせて首都圏へと販路が広がる中、物流を担う若手人材の確保に力を入れている。今年からシフト制の完全週休2日制を導入するなど、勤務体制の見直しも進めているという。
「ある意味、私たちの仕事は『運送業』。物も情報も運ぶ細かな物流に対応できる仕組みと人材が重要です。明るく、率先して仕事と〝気づき〟ができる人材を求めています」
 と話す小島社長は、ますます厳しさを増す競争を生き残るため、同社が長く培ってきた物流のノウハウとネットワークを新たな事業に活用。まずは同業種から、他社の配送業務を請け負う業務に着手している。   

【会社データ】
本社=神奈川県横浜市旭区上白根2―64―6
☎=045―955―5951
設立=1957年1月
資本金=1億4881万円
従業員数=96名
売上高=約100億円
事業内容=酒類卸
http://sinsyuren.co.jp

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