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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

千代田電子工業(シリーズ No.1747)

多業種の信頼集めるワイヤーハーネスメーカー
非破壊測定器「おいし果」で新境地を開拓


伊藤 敏博 社長


 日本三大稲荷として知られる豊川稲荷など、様々な歴史的名所が残る愛知県豊川市。東三河地区でも有数の工業地域として発展してきたこの地に根差し、ワイヤーハーネスの製造会社として半世紀以上の業歴を重ねているのが千代田電子工業株式会社だ。
「電気を使う製品なら必ずどこかで使われているワイヤーハーネスの市場は無くならない。試作・小ロット・短納期にも対応できる生産体制と『誠実』なものづくりによって、お客様のニーズに応えています」
 と話すのは3年前に就任した伊藤敏博社長。在籍32年、たった一人で中国に渡って現地子会社を立ち上げた経験を買われ、4代目のリーダーを託された。


 1969年の創業以降、事務機器などを製造する大手精密機器メーカーをメインクライアントとし、電線などの部品を供給する商社として期待に応えていた同社。或る時、そのメインクライアントから「材料を持って来るなら作り方を教えるから、ハーネスにして納入して欲しい」と製造技術の教えを受けたことが、メーカーに転身を図る契機になった。
その後、メインクライアントからの許可を得て、他の大手事務機器メーカーとの取引も開始。各社との信頼関係を醸成させながら、実に売上の9割以上を占めるほど事務機器の市場でシェアを伸ばしてきた。
しかし、現在は事務機器だけでなく、医療機器や産業機器、住宅関連機器、アミューズメント機器などバランス良い事業領域を確立。その背景には、量産拠点を海外に移して国内を縮小させる同業他社が相次ぐ中で、あくまで「従業員の働き場の確保の為に国内維持」を貫いた当時の社長による英断があった。
「ある程度の生産規模を国内で維持している同業他社は少ない。ローカルメーカーが成長してきた現在の海外の市場では、量産受注を奪い合うので厳しい。国内を維持し、事務機器以外の受注を増やしていく道を選んだ事は正しかった」
 と振り返る伊藤社長。近年、特に医療機器でのシェア拡大は著しく、ドローンなど新しいジャンルにも可能性が広がっている。

糖度測定でブランド化
1・24新モデルも発売


 国内3工場で試作・小ロット品に加え、短納期生産にも対応する傍ら、大量生産は中国の2工場を活用するなど、グローバルなネットワークを確立してワイヤーハーネスと関連部品の安定供給を実現している同社。昨年で創業50周年を迎えた業歴の中で、新たな柱を模索するべく様々な別事業にも挑戦してきた。
 そして今、まさに開花の時を迎えている新製品が、果物を切らなくても僅か0・5秒で糖度・硬度(熟度)・酸度がわかる果実や野菜の非破壊測定器「おいし果」だ。豊橋技術科学大学などと産学官連携で研究開発され、経済産業省が支援する「新連携」事業に認定され立ち上げた事業だ。
ウォームアップを行う必要がなく、電源を入れた直後から測定できる「おいし果」は、重さ約550㌘と、小型で軽量なため片手でも操作が容易。外光や温度の影響を受け難い仕様で、検量線を作成するため屋外での使用にも支障がない
 オプションであるExcelベースの「検量線作成ソフト」を利用すれば自分で検量線を作成でき、活用範囲を広げられる。近赤外フィルター分光方式の採用で低価格(約30万円)も実現した。
これまで個人で営む農家を中心に、地道に「おいし果」の販売台数を増やしてきた同社は、3年前から台湾での販売も開始。今年1月24日には、検量線を別売りにすることにより、さらに廉価な本体価格(約19.8万円)を設定した新モデルをリリースした。
「実際、『おいし果』を使って糖度を測定した石川県のブドウがブランド品種として人気を集めています。糖度の〝見える化〟でブランドになる果物はたくさんある。販売する店舗に対しても、糖度に応じて価格を変えるなど、果物だけでなく野菜等の商品を差別化できる仕組みづくりをお手伝いできます」(伊藤社長)
出荷に合わせて使用時期が偏りがちな農家だけでなく、年間を通じて使用機会が見込めるスーパーのバックヤードなどに販路開拓の期待を寄せる伊藤社長は、中国語の繁体字・簡体字にも対応する新モデルを中国本土でも普及させるため、現地で商標登録も準備。既に、上海で開催される輸入果物関連の展示会にも参加を要請されたという。
「中国では市場を見極めながら、SNSを使うなど売り方を工夫すれば一気に拡販できるかもしれません。ただ測るだけでなく、データを見ることで食生活を良い方向に導くような用途もある。見た目で廃棄される廃棄食品ロスの削減等、新しい使い方も提案し、事業モデルとして確立していきたい」
と話す伊藤社長は回転率を上げるため、レンタルも構想。メンテナンスを含むトータルなサービス体制も視野に入れている。


社員持株制度が基盤
100年企業へ変革


 ワイヤーハーネスの製造においても、中国政府が技術的な産業の育成を目指す「中国製造2025」でハイテク産業の認定を受けた同社。さらに高いレベルで技術力を安定させ、わかりやすく残していくために映像化も検討している。
「人の手を介すハーネスの作業に欠かすことができない検査工程でも、画像認識による全数検査で品質を保証する体制ができれば新しい強みになります」
 と語る伊藤社長も含め、同社は世襲で社長を引き継ぐことがない。1年以上在籍すれば誰でも株を所有できる社員持株制度を早期から導入し、社員一人ひとりの経営参加意識が50年以上の歩みを支えてきた。
 ここ数年で急速に人材が増え、200名を超える体制になった同社。伊藤社長は100年企業を目指す次の50年を見据え、全社でスキルアップを図る教育制度の構築や、人事評価制度の変革も順次進めていく。  
「歴史を持つ会社だからこそ、簡単に変わることはできない。しかし、昔と違い、今はスーパーマン一人が頑張れば生き残れる時代ではありません。一人ひとりが考えて行動していれば自然と利益が上がっている。そんな会社になっていたいですね」(伊藤社長)


【会社データ】
本社=愛知県豊川市穂ノ原三丁目14―4
℡=0533―84―3111
創業=1969年7月
資本金=1億2000万円
従業員数=202名(アルバイト含む)
売上高=30億円
事業内容=ワイヤーハーネスの設計/製造・販売、ハーネス関連部品の販売、非破壊測定器の製造・販売
https://chiyoda-denshi.co.jp

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