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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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城北化学工業(シリーズNo.1350)

多品種小ロットと在庫戦略が勝機を引き寄せる
「直観」で突き進む高機能化学添加剤メーカー


大田 友昭 社長

 二十一世紀最初の元旦、“その時”は突然訪れた――。父君が心不全で急逝し、入社して僅か1年、36歳の若さで事業を継承したのは城北化学工業株式会社大田友昭社長。同年9月の世界同時多発テロに始まり、ITバブルの崩壊やリーマン・ショック、そして東日本大震災と激動の15年を独自の哲学と「直観」で乗り越えてきた。
「試行錯誤を繰り返しながら、自分の身に起こる事には全て意味があると捉え、それを『直観』で把握するという方法論を確立しました。経営の現場で予測不能な事態が起きても、自分の『直観』だけを信じて只々前に進む。父からは経営について何も教わっていませんが、今思えば、それが良かったのかもしれません」
 と大田社長。自らの性格を「激動が好き」と評すように、数多の苦難もまるで楽しむかのように前進を続け、同社の業績は6年連続で過去最高売上を更新中だ。


 1957年に創業した同社は、素材の変質を防ぐためにプラスチックや潤滑油の添加剤などに用いる亜リン酸エステルの専業メーカーとして、日本ではパイオニア的な存在。製品群の数では世界トップクラスを誇り、同社が取り扱っている合成樹脂製添加剤の用途は車や衣料、パソコンなど、どれも私たちの生活に欠かせないものばかりである。 近年は、創業から60年近く蓄積してきた技術と実績を新たな分野に生かし、電子材料関連や医農薬の中間体などへ着実に事業領域を広げ、受託製造や研究開発も行っている同社。最大の特徴は、高付加価値の製品を生む「多品種小ロット生産」だ。
「あらゆる産業に関わり、最終製品を『これが無ければ作れない』ものを作り続けています。需要の変化に素早く対応でき、設備を他の製品に転用しやすいことも多品種小ロットの大きなメリットです」(大田社長)
 また、ジャスト・イン・タイムの生産方式がモノづくりの主流となる一方、同社は敢えて多くの在庫を保有している。いつ、いかなる時でも出荷できる体制を整えることで、不測の事態に備えたリスクヘッジに繋がる。これも、大田社長が貫く独自の戦略の一つだ。
 実際、東日本大震災で福島県いわき市の工場が大きなダメージを受け、約2カ月間生産がストップした際も、在庫の製品を出荷することで取引先への欠品を最小限に抑えられたという。

世界を知り、日本を守る
自己否定から客観性を育む

 この在庫戦略のように、大田社長が時代の流れに惑わされず、常にその先を行く経営を実践できる背景には、長い海外生活で得た貴重な経験と考察がある。
 米国のサザンメソジスト大学に進学し、経営学修士(MBA)を取得。同窓会では代表の一人として名を連ねる大田社長には、日本人よりも外国人の友人の方が多いという。
「メディアの報道に踊らされることなく、友人との人脈でリアルな情報として世界情勢を知ることができます。日本という国を外から見ることができた経験も、私の経営スタイルに生かされています」(大田社長)
 大手外資系にも勤務し、合理的な企業の経営や風土を体感してきた大田社長だが、日本流の経営に備わる良さも尊重する。年功序列や65歳までの長期雇用を採用し、来年60周年を迎える長い業歴の中で一度もリストラしたことはない。会社の「継続」を第一に考える大田社長にとって、先代から受け継ぐ企業文化と人材は“守るべきもの”なのだ。
 また、大田社長は学歴重視ではなく人物本位の採用方針を掲げ、若者に対して「客観性」の大切さを説く。
「仕事で大切なのは社内・社外におけるコミュニケーション能力。学歴ではありません。人生は100㍍走ではなく『マラソン』。私自身も五里霧中で頑張ってきた中で自分のペースを見つけることができました。その場や、その時代に適した行動をとるためには客観的に自分を見る目が必要なのです」
 青天の霹靂で会社の経営を任された時、先ず大田社長は自己を否定した。“エゴ”が塊になれば人間は動けず、一度「0」にしなければ本当の自分はわからない。そして、岐路に立った時は歴史や哲学に学んだ。
 多い時には2日に1冊のペースで本を読み漁ったこともある大田社長が、自身の哲学に最も影響を与えた一冊が『リーダーの易経』(竹村亞希子著)である。
「潮流の“兆し”を読み解く『易経』は、そもそも帝王学を記した書物です。自分の位置を客観的に見ながら照らし合わせることや、『陰』と『陽』の概念などは経営に活用しています。世の中がプラスばかりで成り立つことはあり得ません。ポジティブもネガティブも両方必要。最適な決断を下すために、『陰』と『陽』のバランスを取って中庸にする、『中して化する』という考え方を使ってみたこともあります」(大田社長)

後継者難を乗り越える
愛息に送るメッセージ

 2013年の出生数は103万人(厚生労働省「人口動態統計」)。これは、なんと明治18年と同じ水準である。人口そのものが減少の一途を辿る中、日本の企業は今、未曽有の後継者難に直面している。
 大田社長は昨年、全ての文章を自ら執筆した一冊の書籍をリリースした。
 タイトルは『直観力と哲学なき経営は淘汰される』。副題に「出生数は明治18年 後継者難の時代」と記された同書は、実は愛する2人の息子に残す長い手紙でもある。
「後継者難をはじめ、経済や政治など、これからは想像もできない物凄い事が起こります。それでも、何とか生き抜いて欲しい。私の願いをストレートに書き記しました」(大田社長)
 同書は今年3月、幻冬舎から『直観力経営』として出版された。大田社長は英語版も製作し、全世界の若き経営者にメッセージを送る。幾多の困難を乗り越え、さらに同社を飛躍させる屈強な経営哲学は、確実に未来のリーダーたちへと受け継がれていく。


【会社データ】
本社=東京都渋谷区恵比寿1-3-1 朝日生命恵比寿ビル5F
☎=03-5447-5760
設立=1958年4月
資本金=1億1000万円
社員数=106名
売上高=42億円
事業内容=合成樹脂添加剤・潤滑油添加剤・各種化学品の製造販売
http://www.johoku-chemical.com

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