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会社の流儀BLOG

毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

飯田繊工(シリーズNo.1351)

「繊維を通じて社会に貢献する」
創業114年の染色加工会社

片平 晴夫 社長

大阪・淡路駅を出てしばらく歩くと巨大な煙突が姿を現す。約1万坪の広大な敷地を有する飯田繊工株式会社だ。
 1903年創業の同社はファッション・衣類用生地の製造・加工および販売を行う。スポーツウェアから肌着や下着、靴など幅広く展開しており、特に天然繊維を中心とした綿ニット染色の分野では業界トップクラスの生産量を誇る。
 ミズノ、ワコール、ワールドといった大手アパレルメーカーや高級ブランドメーカーを顧客に持ち、さらには北京オリンピック・ロンドンオリンピック日本代表選手の公式ユニフォームの染色・加工を手掛けるなど、その品質の高さは折り紙付きといえる。


 他にも、オーダーメイド紳士服メーカーへのニットスーツ地供給など、生地自販の取り組みも広がりを見せている。
 そんな同社の一番の強みは、2005年に「繊維学会技術賞」を受賞した独自のコンピュータシステム。過去の受賞企業は軒並み大企業であり、同社のような中堅企業が受賞するのは極めて稀。このシステム化を手掛けた人物こそ他ならぬ片平晴夫社長である。
 受注・生機・製品・在庫・出荷・売上・請求というすべての管理をOA化し、常にリアルタイムで顧客と情報共有することを実現。染色機の自動配台、進捗管理を行い、工程を徹底的に合理化する。完成までに2年以上を要したが、個人の入力によるばらつきやミスが減り、コスト削減や加工時間の短縮につながった。
 また、加工・商品開発において極めて高い一発率が可能に。聞き慣れない言葉であるが、一発率とは染色再現性のこと。同じ染料を使用していてもどうしてもばらつきが生まれてしまう。一般的に一発率70%で標準以上とされるが、同社のシステムによる配合は95%以上を誇るというから驚きだ。自動化のノウハウがなく手探りの中、すべてのシステムに一律で同様のデータを与えたのが成功の決め手だったという。
 加えて、収益予測計算を毎日行う収益予測システムも強みの一つ。「AIとまではいかないものの、かなりの高精度ですので、日々変化する経営状態に対して先手をうつことができます。社員一人ひとりの利益やコストに対する意識を高める効果も見逃せません」(片平社長)

業界に先駆けたIT化で
黒字経営を実現

 大阪・天神橋にて創業し、明治時代から晒工場として長い歴史を刻んできた同社。「満天下」ブランドとしてご存知の方もいるだろう。1960年代におとずれた合成繊維ブームに対応して、染色工場を竣工、染色業務を開始した。晒工場として実績はあるものの、染色工場としては後発組で職人不在というハンデを逆手にとり「職人がいなくてもきちんと染色できる工場」を目指し、1971年に業界に先駆けてOA化に着手した。1989年には、染色工程の自動化・無人化を実現。その後、2002年には前述の生産システム自動化に成功した。 
 片平社長は大手紡績関係企業を経て、コンピュータ会社のシステムエンジニア兼営業担当として、コンピュータカラーマッチングなど同社のシステムを長年担当していた。生産システムの開発に当たって、現会長に誘われ入社。
「プログラミングだけできても、繊維のことがわからないと作れないシステムです」と笑う。
 6代目社長に就任したのは、リーマンショック直後の2008年12月。繊維業界の生産現場が次々と海外へ移行する中、国内で生き残ることと赤字を解消することが求められた。
「飯田丸という船に社員がクルーとして乗り込み、黒字化という島を目指すと全社員を目の前に宣言しました。全員が同じ方向に進まなければならないということを共有したかったのです」
 片平社長が徹底したのはコストダウンと生産性の向上。全体の6割を占めていた採算性の低い晒業務を2割程度まで減らし、付加価値の高い染色業務の受注を増やすことで利益率の向上を目指した。
 またシステムや社内構造を改良。細かな無駄を見直し、ガスや電気、水、薬品など必要経費の削減にも成功し、4年で黒字経営へと導いた。

永続する企業を目指して
新展開も構想中


「今後は、糸や生地の手配から加工して販売するまでの全工程を自分たちで行いたい。受け身の姿勢ではなく主体性を持ったものづくり企業へ飛躍します」
 と、片平社長はまず社内体制を一新。社員の意識改革を目標に、今年の8月から開発部隊を片平社長の直轄とし、自ら指揮を執る。昨年と一昨年は若手社員に毎日、プログラミングから経営論についてまで幅広くレクチャーし、今年は管理部や営業部の社員に対してミーティングの機会を設けている。
「いくら最新のコンピュータシステムで自動化を進めても、操るのはあくまで人間です。教育を疎かにすることなく、将来を担う人材をしっかり育てていきたい」(片平社長)
 取材の最後にこれからの展望を尋ねてみた。
「実はアパレル業界における日本独自のブランドは意外と少ない。近い将来に自社ブランドの立ち上げを計画しています。歴史と伝統の中で培ってきたポリシーを守りながらも、時代に即した消費者が求めるブランドを構築していきたいと考えています。また当社は淀川の取水権を持っていますので、水にこだわった環境事業も構想中です」
 114年という歴史の重みと先進のテクノロジーが共存する飯田繊工。飽くなき挑戦を続ける同社から今後も目が離せない。    
【会社データ】
本社=大阪府大阪市東淀川区菅原2―2―104
☎=06―6328―3333
創業=1903年6月
資本金=5000万円
従業員数=100名
事業内容=ニット(丸編・縦編)の染色仕上げ
http://www.iidasenko.co.jp

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