独自開発のワームがヒット商品に!ビジネスチャンスを結実させるものづくり企業
中仙道 将人 社長
釣り人の間で餌として人気のワーム(疑似餌)。しかし、針から外れて水中に堆積するなど、環境への影響が問題となっている。事実、河口湖や芦ノ湖ではワームの使用が禁止されている。そんな中、時間が経つと水中で分解される微生物分解性の合成樹脂ワームがヒットしている。「釣りという狭い市場ではありますが、環境への配慮は今後不可欠になると考え、微生物分解性樹脂のワームを6年前に開発しました。従来の塩化ビニール製ではなく、当社が開発した柔らかく、伸びる超軟質エラストマを用いることで、水の中でも柔らかさを失わず、千切れにくい製品が出来ました。集魚効果の高いエキスやアミノ酸も配合し、好評を得ています」 と語るのは、ニッコー化成株式会社の中仙道将人社長。
プラスチック製品の製造で創業し、発泡スチロール包装材の製造で成長を遂げた同社が危機に直面したのは1980年代。円高や第2次オイルショックの影響により、取引先が生産拠点を次々と海外へ移した。 当時、売上の約80㌫占めていた発泡スチロール事業の売上は激減。その後のバブル崩壊で窮地に陥った95年、2代目の代表取締役に就任した中仙道社長は、事業内容の大幅な変更を決断、現在の主要事業であるホビー向けの有機溶剤塗料の充填加工に着目した。 有機溶剤を使用した塗料は、発色が良く速乾性もあるが、揮発性が高く発火し易い上、作業員の健康への配慮から、冬でも風通しの良い環境での作業を強いられるなど問題を抱えていた。そこで同社は防爆設備の整った充填加工装置を開発・導入。極限の無人化・全自動で、安全かつ環境に優しく塗料の充填を行うことができる。「メーカーは塗料の研究には余念がありません。しかし、充填加工には改良の余地があり、そこを任せていただきました。取り引き先からもコストダウンに繋がったと大変喜ばれています。今思えばロボット化の先進的取り組みとも言えるかもしれませんね」(中仙道社長)海外展開にも意欲自社の強みを次々開拓 現在では有機溶剤塗料の他、様々な液体・粉体の受託充填加工も行っている。 ワームも自社のオリジナル製品の他、評判を聞きつけた大手釣り具メーカーからのOEM供給の依頼もあり、勢いは止まらない。「現在海外への輸出も一部行っていますが、世界販売強化のため、英語による通販サイトも完成しました。アメリカ、カナダでの販売やヨーロッパ、ロシア、オーストラリア、東南アジアにも展開して、世界の釣り人に愛される商品にしたいですね」(中仙道社長) その他、水素発生剤を用いた化粧品の受託製造も行うなど、自社の独自技術を次々と開拓。生き残りを掛けた中小企業の活躍は今後も続きそうだ。【会社データ】本社=東京都大田区池上8-23-5☎=03-3759-7281設立=1964年2月資本金=2800万円従業員数=40名事業内容=合成樹脂射出成型品の開発製造、有機溶剤塗料の充填加工、OEM等http://www.nikko-kasei.com
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