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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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興和商事 株式会社(第90回)

知る人ぞ知る匠の製品を提供
日本の「匠」の技を守り、継承する異色企業

石田 卓也会長


  東京・渋谷に本社を構え、創業66年を数える興和商事株式会社が手掛ける「世界一切れるブレッドナイフ」が、1本3万円と言う破格の値段にも関わらず大手小売店や百貨店を中心に価値の解る人に売れている。
 人気の秘訣は、その切れ味。水分を多く含んだ焼き立てのパンや、フランスパン、サンドウィッチなどあらゆるパンが気持ちよく、思い通りに切れる。


「刃物鋼には抜群の切れ味を誇る〝V金10号を、刀身には軟質と硬質のステンレスを33層ものミルフィーユ状に重ね合わせた〝ダマスカス鋼を施しました。地場産業として名高い新潟・燕三条の鍛冶職人が1本1本丹精込めて作製し、磨き上げた独特の模様に職人技が光る逸品です」
 と、語るのは石田卓也会長。早稲田高校を卒業後、単身渡米し、現地のチャップマン大学を卒業。1978年に不動産事業とステンドグラス材の輸入貿易事業を核とした「FAN OUT」を米国で設立。母校やレーガン大統領の出身校ユーレカ大学の理事、虐待された子供を救うNPO副理事長を歴任した後、父君の逝去を機に日本に戻り、08年に同社会長に就任した。
 二束三文の商品が流通し、下請け業者や日本の匠が苦戦している現状を打破すべく、美容製品にフォーカスした毛抜きや爪やすりを販売。「高くてイイものを」をコンセプトに、特許や意匠登録されたワンランク上の商品を提供している。削ると赤ちゃん肌のような仕上がりになる〝角質ファイルは、フィギュアスケートの羽生結弦選手も愛用する本格的なケア商品だ。
 石田会長は自著『日本人だったアメリカ人が見たおかしな日本』(牧歌舎)、『日本人だったアメリカ人社長、日本を叱る』(学研マーケティング)で「匠」について触れている。
「最高級の商品を作るべく、職人と衝突することもありますが、決して妥協はしません。長い歳月をかけて出来た商品は、匠の技を継承し、守りたい思いから一切返品なし、高価格でバイヤーさんに買い取って頂いております」(石田会長)
「全社員による年間50万円売れる商品の提案」を企画したり、社員が1年かけてクレド(企業理念)を作成するなど、社員が主体となって行動する企業風土を醸成。その根底には、経営者が替わってもクレドを基本とし、会社を存続してほしいという思いがある。
「父が1964年に、デザイナーズマンションの先駆けとして建築した『ビラシリーズ』は、今でも毎年雑誌で取り上げられます。私も父のように、後世に残る『拘りのイイものづくり』を、職人と共に続けていきたいですね」(石田会長)

【会社データ(問い合わせ先)】
本社=東京都渋谷区渋谷1―3―18
☎=03―3406―6414
設立=1950年6月
資本金=1億円
事業内容=不動産賃貸、ステンドグラス輸入・販売、美容関連商品製造・販売
http://www.kowa-shoji.co..jp

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