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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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ナカショク(シリーズ No.1644)

健康に育て、安心安全を届ける畜産企業
「足し算」で築き上げた〝仲間の職場〟

 越後平野の北部に位置する新潟県新発田市。城下町の歴史と文化、豊かな自然が融和するこの街で養豚・養鶏業を営む株式会社ナカショクのルーツには、社名に込められた思いと物語があった。27歳までサラリーマン生活を送っていた本間春夫社長が、当時勤務していた会社で倒産間際の子会社整理を任され、名目上の社長でありながら見事に立て直しを成功させたことが始まりだ。

その手腕が高く評価され、次に任されたのは当時全国でも5本の指に入る大手畜産企業。130億円の負債を抱えた破産企業の再建を託されて二進も三進もいかない状況が続く中、本間社長は100名近い幹部社員たちを引き連れ、月岡温泉で豪快に飲み明かした。



「会社が儲かれば稼ぎが増え、稼ぎが増えれば楽しい事に使える。そのことがわかれば愛社精神も高まります。『役職手当』は部下のために使うもの。厄払いではなく〝役払い〟をしてこそ部下が育つのです。彼ら一人ひとりと会話して得になる事を教え、愛社精神を芽生えさせるために敢えて馬鹿げたことをしてみました」      
と、当時を振り返って笑う本間社長。相次ぐ自主退社で900人いた社員は300人台にまで減少していた当時、卵1㌕27円という人件費の割合は据え置き、愛社精神に満ちた社員たちが少人数で仕事を完遂できるベストな環境を作ることで、人数に反して「やる気」の力が増した。必然的に仕事の能率も高まったという。
 さらに、30人以上で台湾を訪れた社員旅行の道中では、昼食時に敢えて10人分だけ蒋介石所縁の超高級レストランを予約。先頭で自身と行動を共にしてきた10人に対し、「己一人では何もできない。この10人と一緒に仕事がしたい」と思い立った本間社長は社名変更を決意した。再出発を期した現社名、「仲間の職場」を意味する「ナカショク」だ。

次世代へと繋げる
農場管理システム


 かくして新生した「ナカショク」は、本間社長の思いと手腕に引っ張られるかのように社員一丸で業績を伸ばし続け、いまや畜産企業として新潟県内1位(帝国データバンク調べ)の売上高100億円を誇るまでに成長。国内で流通する鶏卵(約250万㌧)の1割を担うキューピータマゴ㈱から全幅の信頼を得ている。
「どうせ商売するなら『一番』の会社と仕事をしたい。そのためにもキューピーが求める品質を提供し続け、サプライチェーンの一環を担う存在になりたいですね」
 と、抱負を語る本間社長は自他共に認める卵づくりのプロ。「消費者が本当に必要としているものは何か」を常に考え、キューピータマゴの担当者に的確なアドバイスを送るだけでなく、鮮度が高い商品を届けるために鶏や豚の飼育でも徹底した農場管理を行っている。
 養豚では飼育する農場立地を繁殖農場・離乳仔豚農場・肥育農場の3つに分散する「スリーサイト方式」を導入。病気感染リスクを最小限に抑えるだけでなく、日齢に適した環境でのびのびと育てることができる。
 また、導入された全ての仔豚を出荷して豚舎を空にした後、徹底的に洗浄と消毒を施してから次の仔豚を導入する「オールイン・オールアウト方式」も防疫対策の一つとして採用.。衛生的で豚が病気になりにくい環境を作ることで薬品の使用が軽減され、集団免疫を確立しやすいことも特徴だ。
2005年に3つの農場が畜産安心ブランド生産農場の証である「クリーンポーク農場」の認定を受け、07年には日本では数少ない特定病原体不在を証明する「SPF(Specific Pathogen Free)認定農場」の厳格な審査に合格。日光と自然な空気を取り入れた開放鶏舎を採用している養鶏でも3つの農場が「クリーンエッグ農場」に認定されるなど、安心安全と豚・鶏の健康を第一に考えた農場管理を実践している。
また、毎日17時になると、新潟・秋田・山形・宮城に展開する養豚16カ所、養鶏9カ所の、合わせて25カ所の農場から本社に衛生管理状態のデータが一斉に送られてくる。緻密な分析とスピーディーに改善を施せる管理体制が整っているのだ。
 その背景には3年前に肺がんを患い、片方の肺を摘出した本間社長が抱く後継者たちへの思いがある。
「自分のアイデアを形にして会社の基盤を作るのが創業社長。次のリーダーたちが個人的な考え方で判断しなくても正しい選択ができるように、100㌫信じることが出来る、誰にも真似できない仕組みを作ってきました。私は、死んだら天国で安穏と暮らすよりも、閻魔様に取って代わるくらいの気持ちで地獄に行く方が性に合います」(本間社長)
  
仲間たちを儲けさせる
船長として次の大海へ


 農場管理だけでなく、畜産を「食品製造業」としてとらえ、金融機関に対して毎月定期的に業績報告を行うなど、経営面でも独自の信念とアイデアを具現化している本間社長。経営者として大切なことは、「船長」の気持ちを持ち続けることだという。
「1年間の会社経営に例えるなら、『決算』は港です。毎月の業績報告は、自分たちの船が正確な航路を進んでいるかを定点観測しているだけ。毎月見ているからわかる事があります。荷主の信頼と船員の大切な命を守り、絶対に安全に目的地まで航行することが船長の役目。目標は常に船長である経営者が立てるべきです」
 また、「経営者は足し算と引き算ができれば十分」と続ける本間社長。社員たちを儲けさせるために様々なアイデアの「足し算」を給与制度にも取り入れている。
 豚舎でネズミを捕獲した社員には一匹につき5000円を支給するほか、生産キロ数(鶏)や出荷頭数(豚)に合わせた賞与、高校生以上の子どもが入学した際に該当社員たちで原資を分け合う祝い金制度など、ユニークな「足し算」が社内のモチベーションアップに繋がっている。事務社員が着る制服も、数パターンを用意した中から毎日自由に組み合わせを選ぶことができる。
「社員たちには『100人の中で1位になるのは難しい。1億人の100万番目になりなさい』と話しています。彼らが少しでも豊かな生活を送れるように、成果が上がれば『足し算』を惜しみません」(本間社長)
 18年1月、経済産業省から「地域未来牽引企業」に選定された同社。本間社長は「仲間=社員」たちと共に一流企業の名に恥じない航海を続けていく。


【会社データ】
本社=新潟県新発田市日渡170
℡=0254―27―2200
設立=1980年12月
資本金=9525万円
従業員数=96名
売上高=100億5100万円
事業内容=養豚、養鶏、環境事業
http://www.nakasyoku.co.jp

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