技術と人の本質を知るプロフェッショナル集団
地球温暖化への警鐘が鳴り響く最中にあり、排水処理専業メーカーとして揺るぎない地位を獲得しつつあるのが株式会社エイブルだ。独特の技術を駆使して排水からメタンガスを取り出し、1日当たり数千㌔㍗の発電を行うことで地球に貢献している。
一時期は雨後の筍のように事業者が乱立していた排水処理業界だが、日本経済が停滞した、いわゆる「失われた20余年」の中で、その多くが消滅した。一方、同社は昨年で創立から30周年を迎え、その歩みの中で20近い商品を世に送り出してきた。
「成功」の基本を貫く
プロジェクト毎の組織
民間の工場向けに特化した排水処理の研究を行っている同社は独特の研究設備を有しており、通り一遍の実験機を使用することはない。各研究の目的に沿った実験機を、その都度手作りしているのだ。
また、クライアントの工場から送られてくる排水のサンプルは多種多様だが、同社はそれぞれの工場から排出される成分を極力調査し、物質の特性に応じた分解実験を行っている。事前の調査研究を十分に尽くすことこそが「成功」の基本なのである。
「排水処理におけるトラブルはマニュアルやマネージメントという表面上だけの手法で手軽に取り組むところに起こり、いわば素人考えの軽率さに原因が存在するのです。失敗しないために必要なのは物事の本質を見極めるプロの存在。素人が100人集まっても一人のプロには及びません。当社は実験を基本にした『プロ』を育てており、ここに『エイブル』としての強さを表現できつつあると思っています」(吉村会長)
また、創業前は大手水処理総合メーカーに約30年弱勤務していた吉村会長は、自身のサラリーマン時代の実体験をもとに、独自の組織づくりを進めている。
「100人に会えば、100人が『組織化しろ』と言います。しかし、私は敢えて世間で言うところの『組織』は作りません。私がサラリーマン時代に感じた嫌なところを取り除き、『こうありたい』と思ったことを『エイブル』で実現したいのです」(吉村会長)
多くの企業が予め固定した組織を作り、社員一人ひとりの個人は上司や同僚を選ぶことができない。
しかし、同社が形成する組織は、そんな従来の組織とは全く異なる。プラント建設業に属し、案件の受注から完成、引き渡しまで6カ月~1年程度を要する同社では、受注から完成までの仕事、つまり「プロジェクト」毎に組織を作るというのだ。
そして、責任者を「上司」、協力者を「部下」とする独自の組織でプロジェクトを完工。プロジェクト毎に責任者と協力者が入れ替わるため、複数の社員が時には「上司」、時には「部下」になるなど、相手との関係が固定されることはない。
社員たちはこの経験を通じて、いわゆる上司の役割と部下の役割の両方を学ぶことができ、結果的に吉村会長が望む「個人の強さ」が生まれるのだ。
「社員」こそブランド
20年後に向けた新体制
創業から30年の時を経て、「エイブル」はブランド化しつつある。これまで吉村会長が常時注力してきた人材育成もまた、実を結ぼうとしている。
「素直で一生懸命な姿はお客様の心に響き、自分自身も成長します。よく勉強し、楽しみながらお客様と向き合っている。そんな社員たちに身をもって教えられていますよ」(吉村会長)
実際、多くの社員がクライアントから指名を受けているという同社。昨年の新入社員歓迎会の最中にクライアントから緊急連絡を受けた際には、自発的に4人の社員が一斉に会場から飛び出し、あっと言う間に解決した。
「あのような光景を目の当たりにすると、社員たちの自覚と結束力にひたすら頭が下がります」
と吉村会長が話すように、「社員」こそが「エイブル」のブランドなのである。特許保有件数12件(出願中含)を有する開発形企業である同社は20年後を見据え、吉村会長はさらなる新技術の開発に専念する。会社経営の実務は新任である小林信彦社長が取り仕切るという。
新体制でブランドへの進化を加速させる「エイブル」の将来が、今からとても楽しみである。
【会社データ】
本社=埼玉県川越市吉田739―1
℡=049―233―7727
設立=1989年7月
資本金=3000万円
従業員数=15名
売上高=12億円
事業内容=用水及び排水処理設備の設計・施工・管理
http://www.ablewater.co.jp
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