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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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天野産業(シリーズNo.1224)

非鉄金属卸売業界で躍動する風雲児
心からの商いが企業ブランドを確立

天野 貴三 社長


 商いは心から一つ一つの仕事を全力で 人・地域・社会と共に道を開くことです――。株式会社天野産業の社員は皆、毎朝この言葉を唱和する。
「私たちは、お客様に〝商売をさせて頂くことで生かされているのです。お付き合いを重ねながら人間関係を育み、お客様から教えて頂くことも沢山あります」


 と話すのは、5年前に創業者である父君(現顧問)から経営のバトンを受け継いだ天野貴三社長。就任後、真っ先に取り組んだのが右に示した企業理念の作成だ。
 同社の事業は電気工事の現場や工場で不要になった電線やケーブル、木製ドラムなどの回収・買取を行い、リサイクル資源としてメーカーに供給する非鉄金属卸売業。老舗の大手企業が主導し、新規参入が難しい業界の中で、同社が関東トップクラスの業績を誇るまでに成長してきた背景には、企業理念を全力で体現する質の高いサービスがある。
「この10年で業界を取り巻く環境は大きく変化し、コンプライアンスに対する意識や環境への配慮などが強く求められるようになりました。『100—1=0』。一度対応を間違えてしまえば、お客様からの信頼は一瞬で無くなります」(天野社長)
 それまで不要品を〝積んで運ぶことに主眼が置かれていた業界の通念を覆し、顧客対応をはじめ、サービス業としての付加価値を追求することで取引先の信頼を獲得してきた同社。本社でISO9001(品質)とISO14001(環境)を取得するほか、地元の子供たちのために、通学路にガードレールを設置する活動や仕事体験を行うなど社会貢献事業にも力を入れる。
 こうした天野社長の事業意欲を突き動かす契機になったのは「3・11」だ。震災から間もなく、トラックに帰りの燃料と救援物資を積み込んで宮城県南三陸町に向った。瓦礫が散在する現地に立った時、何も出来ない無力さを痛感し、自然と涙が溢れた。ここで仕事をする――。東北支社設立の覚悟を決めるまでに時間はかからなかった。
「東北の素晴らしい方々との出会いに恵まれ、訪れる度に新しい発見があります。復興が進んでも帰るつもりはありません」(天野社長)

自ら動いて道を開く!
全国進出にチャレンジ

「その道において一流」を座右の銘に掲げる天野社長は、持ち前の行動力で同社の躍進をリード。率先垂範の社員教育を実践するとともに、報告書の義務化などを通して組織力強化を図る。
  そして、業界の〝風雲児が次に目指しているのは「国内のグローバル化」だ。
「お客様にブランドとして認知して頂けるようになった現在でも、我々はチャレンジャー。正しいと判断したことには、まず動きます。モチベーションの高い社員の能力をハイレベルで均一化し、会社と共に私自身も成長していきたいですね。60歳までは走り続けます」 と、意気込みを語る天野社長。自社便による回収事業など〝中身のある全国展開の手始めとして、愛知県での中部支社設立に向けて準備を進めている。

【会社データ】
本社=千葉県山武市板中新田192―8
☎=0475―89―1690設立=2002年2月
資本金=1億円
社員数=85名
事業内容=廃電線・木製ドラム・非鉄金属のリサイクル
http://www.amano-recycle.com

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