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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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世新建設運輸 株式会社(第72回)

創立50年を生き抜く異色物流企業
社員の幸せと日本の発展を感謝の心で運ぶ

菊名 俊宏 社長

 物流分野の中でも、専門性 物流分野の中でも、専門性・公共性が高い重量物や精密機械の輸送。
「当社では鉄道や航空機、重機等の重量物や発電機、風力、精密機械など振動を嫌う機器の輸送を得意としています。時代と共に多様化する需要に応え、高付加価値サービスを提供し続けてきたのが継続の秘訣です」
 と語るのは、世新建設運輸株式会社菊名俊宏社長


 社名の通り、建設と運輸の許認可を有する神奈川県内でも珍しい企業だが、道路舗装が主力の建設と運輸の売上比率は現在1対9。主業務の運輸業の活躍の場は、日本国内のみならず韓国や台湾にも広がっている。
 多様なクライアントニーズに応えるために、輸送物の性質に合せたトレーラーを順次整備。エアーサスペンション付や、最長15㍍になるマルチトレーラーなど、常に設備投資を怠らず、最新鋭機種を海外の有力企業から輸入するなど、現在では保有車両は150台、保有機械は9台に達している。
 この投資はクライアントのためだけのものではない。
 前職は貿易関連企業に在籍していた菊名社長。当時、労働組合の委員長を任され、社員の労働環境の改善に粉骨砕身した経歴を持つ。
「立場は変われど、当時から気持ちは変わっていません。『働く人をいかに幸せにできるか』が、人手不足が業界の課題となっている今、生き残るために不可欠だと考えています」(菊名社長)
 1975年、前々任の安田貞夫社長に誘われて同社に入社した後も「どの社員にも平等に」という方針を貫いた。規律意識に乏しく、度々反発する社員とぶつかりながらも、毅然とした態度で信念を堅持、企業体質の改善に大きく貢献した。
 その甲斐あってか、人材の移動が激しいと言われる物流業界の中で、勤続30年以上のベテランドライバーも多数在籍するという。
「社員全員、経営参加」という信条のもと、次世代を担う若手の育成・経営参画にも力を入れている。
 代表職に就任した1995年以降は、今後需要が先細りすることのない運輸に重きを置く経営を推進。安田元社長の代からひき続き、現在まで42期連続黒字経営という実績を打ち立てた。
 安田元社長の薫陶を受け実践しているキャッシュフロー経営は、今でこそもてはやされているが当時としては珍しい、手形を切らない、短期の借り入れをしないという健全経営だ。
「今後は生き残るための企業体質の強化に努めたいですね。顧客の要求も、法制度もめまぐるしく変わる今、3年先、5年先を読み、事業計画に沿った経営で、業容の拡大に取り組んでいきます。スケールメリットを活かした、コストパフォーマンスの良い体質を作ることが目下の目標です」
 と語る菊名社長は、会社とそこに働く社員達の未来を、真摯な眼差しで見つめている。

【会社データ(問い合わせ先)】
本社=神奈川県横浜市泉区和泉町2580―2
☎=045―800―3506
設立=1965年2月
資本金=3000万円
従業員数=98名
事業内容=重量物・精密機械輸送、土木工事
http://www.seishin-tr.co.jp

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