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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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興和商事 (シリーズNo.1367)

ひらめきを実現するまで諦めないモノづくり魂が
生んだ逸品。1本10万円の和包丁<牛刀>


石田 卓也 会長 
   8月20日放送の日テレ系の人気番組「ぶらり途中下車の旅」で紹介され、好奇の的となった、切れ味なめらかな1本3万円の「ダマスカスブレッドナイフ」。

 その製造・販売元である興和商事株式会社が、今度は開発期間3年をかけた1本10万円の牛刀を始め、菜切り、三徳などの和包丁シリーズを上市している。


 新潟・三条の刃物の名匠、日野浦司氏とのコラボで磨き上げた逸品は、刀身に特別注文した銅、真鍮、ステンレスを重ね合わせたダマスカス鋼を採用。1本1本異なる3色(ピンク・ゴールド・シルバー)の美しい模様が浮き出る刀身は、素晴らしい切れ味を生み出す。柄の部分には、もみじの木にプラスチック樹脂と染料を含浸した特殊素材を開発。もみじの美しい木目模様に鮮やかな発色と強度や耐久性を共存させた、世界でも唯一無二の素材だ。
「マーケティングの理屈では、予め市場に受け入れられる価格帯を設定して、それに向けてコストダウンを重ね、商品開発を進めますが、当社では一切マーケティングはしません。一切の妥協なく、高くてもいいものを作ってブランド化し、競争のない独自のマーケットを作る。それがひいては、日本の匠の技を守ることに繋がっていくのです」
 と、石田卓也会長はモノづくりへの思いを語る。
 30年にわたって数多くの中小企業経営者の取材を重ねてきている筆者も、石田会長のこの逆発想には、目からうろこが落ちる思いだ。
 1952年東京生まれの石田会長は、早稲田高校を卒業後単身渡米し、米国チャップマン大学を卒業。78年に貿易・不動産事業の「FAN OUT」を米国で設立。08年、デザイナーズマンションの先駆者として知られるビラ・シリーズの創業者である父君の他界を機に帰国し、同社会長に就任。
 その後、同社内に毛抜きや角質ファイル、櫛など美容関連商品を開発する「FAN OUT事業部」を設立。二束三文の商品が流通し、下請け業者や日本の匠が苦戦する現状を打破すべく開発した8000円台の毛抜きや1万円の和鋏など、こだわりの商品群が価値の解かる人に飛ぶように売れた。こうした「高くてもイイものを」をコンセプトにした妥協のない商品作りが、1本10万円の和包丁の開発に繋がっていくことになる。

枝毛、切れ毛を防ぐ
「フッソコーム®」も好評

 一方、フッ素含有樹脂を使った櫛「フッソコーム®」も売れている。フッ素の効果で枝毛、切れ毛、静電気を防ぎ、髪に艶が出るロングセラー商品だ。
 これら商品はすべて石田会長のひらめきから生まれたもの。不可能と思えることでも実現するまで妥協せず諦めない姿勢が、世界一の商品を生み出している。
 石田会長著書:「日本人だったアメリカ人が見たおかしな日本」「日本人だったアメリカ人、日本を叱る」

【会社データ】
本社=東京都渋谷区渋谷1―3―18
☎=03―3406―6414
資本金=1億円
http://www.kowa-shoji.co.jp

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