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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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日本自動機工(シリーズNo.1313)

ラバーダムのパイオニアとしてトップクラスのシェア
〝治水〞と〝利水〞で日本を超えて世界へ


古屋 久昭 社長
 
 河川の氾濫による浸水被害などが多く報道される日本。しかし反面、夏には水不足による節水が呼びかけられている。

 水害を制御する〝治水と、水資源を有効活用する〝利水。その2つの面から大きな役割を担ってきたのが日本自動機工株式会社だ。全国約3300カ所に水門や除塵機などの河川向けの設備を提供してきた。
「特に私たちが得意としているのは、ラバーダムという農業における灌漑用の利水設備の設計・施工。全国に約650カ所設置されており、これは全国でもトップクラスの実績です」


 と、語るのは同社の古屋久昭社長。
 1950年の創業時は、日本自動堰株式会社という名称で発足した。64年には国内で最初にラバーダムを開発し、特許を取得。
 以来パイオニアとして、全国の県や自治体に同製品を提供しつづけている。
 ラバーダムは、空気圧で堰の上げ下げを行うため、低コストで設置可能で、メンテナンスの頻度も少なく、寿命も20年~30年。また、景観にも影響が少ないという点で一気に普及が進んだ。
「しかし、ラバーダムが主力製品となるまでの過程では、苦労も多くありました」(古屋社長)
 古屋社長は、埼玉大学卒業後、三菱電機の家電部門でマーケティングや生産計画などに従事。その後、2002年、先代社長(古屋久和氏)の病を機に同社に入社。当初は、大手と中小の体質の違いに戸惑ったが、コスト管理や会社の組織づくりを推進、利益率の向上に寄与した。
 また、7年前の代表職就任後も自ら中小企業診断士の資格を取得し、経営全般への理解を深め、福利厚生の整備や生産管理の見直しも実行。現在では2年に1度社員旅行も行っている。
 何より、生き残るために行ったのは〝ニッチトップを目指すこと。ラバーダムという得意分野を深堀りし、それを前面に打ち出すことで、オンリーワンかつナンバーワンの強みを持つことが出来たのだ。

海外展開も社員と共に
目指すは次の一手

 その需要は国内だけに留まらない。
 14年より中小企業基盤整備機構の海外ビジネス戦略推進支援事業に採択され、着々と海外進出へ歩を進めている。昨年はインドネシアに直接社員を送り込んでの調査となった。
「若い社員たちも、海外への事業展開には積極的で、進んで出張を買って出てくれます。もともと真面目で誠実な社員が多く、これからが楽しみです」
 と、語る古屋社長。
 次なる一手はもう一つの主力製品を育て上げること。
 公共性が高い、大型の設備という共通点を生かし、現在地下鉄の防水扉の製造・設置に力を入れているという。20年開催予定の東京オリンピックに向けて、交通網の整備が進む中、その普及に期待がかかる。  

【会社データ】
本社=埼玉県さいたま市浦和区岸町7―1―7
☎=048―835―6361
設立=1950年10月
資本金=8000万円
従業員数=70名
事業内容=ラバーダム、水門等の設計施工・維持管理
http://www.jido-kiko.co.jp

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