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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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睦屋(シリーズNo.1587)

インテリアの歴史と共に143年の時を刻む
誇り高きブランドは〝鹿鳴館から21世紀へ!〟


富澤 康正 社長
 

 文明開化の象徴として、明治政府が日本の建築技術の粋を集めて建設した「鹿鳴館」。その煌びやかで優雅な社交場の内装工事を施工したのが、1875(明治8)年に創業した株式会社睦屋である。
「寝る間も惜しんで懸命に語学を学んだ私の曾祖父が入社し、絨毯や壁紙の輸入販売を成功に導いたことが『鹿鳴館』を手掛けるまでに成長したきっかけだと聞いています。その後も、室内装飾・インテリア一筋に事業を集中させてきたことによって140年以上の歴史を積み重ねてきたのです」
 と話すのは、2年前に就任した富澤康正社長。曾祖父が礎を築き、21世紀へと受け継がれる「ムツミヤ」の屋号と伝統を守り続ける。
 1890(明治23)年には「鹿鳴館」と隣接する「迎賓館」(初代帝国ホテル)の内装・インテリア工事の施工を手掛けた同社。その後も南満州鉄道の座席シートを手掛けるなど、時代の最先端を歩みながら信頼と実績を積み上げてきた。

 しかし、関東大震災で銀座一丁目に構えていた本社が大打撃を受け、第二次世界大戦の終戦によって中国に開設した4つの支店を閉鎖するなど、長い業歴を歩む中で幾度となく試練に直面してきたのも事実である。
「創業当時から優秀な社員が揃い、一人ひとりの頑張りによって紆余曲折を乗り越えてきました。今でも、社員の人柄の良さと専門性の高さには自信があります」
 と話す富澤社長。現在は東京本社と仙台支店にショールームを開設し、優れたコーディネート力を持つスタッフが海外の一流ブランドを中心とする豊富なサンプルから建物とニーズに最適な商品を提案している。

若返りと原点回帰で
次の時代を切り開く

 建設工事の仕上げである内装工事も行う同社にとって、職人のネットワークを活用した高い施工力も大きな強み。工期を遵守することはもちろん、入念で丁寧な施工技術は大手建設会社や設計事務所から「任せて安心」と評価され、現在、内装工事は同社の売上で8割を占めるほどに拡大した。
 しかし、これからの厳しい時代を生き抜くために、富澤社長は同社の原点であるインテリア商品の輸入販売を復調させることが不可欠だと考えている。若い人材の採用と教育、働きやすい環境作りも、その一環だ。
「安価な商品が選ばれやすい昨今、高級品を取り扱う当社が生き残るためには、いかに商品の魅力をお客様に届けるかを工夫する必要があります。商品の目利きやコーディネートにはセンスも必要。若い人がモチベーションを高められる職場を作り、全ての事に対して堂々と、誇りと自信を持って取り組んで欲しいですね」 と話す富澤社長は、歴史的企業であるが故に旧態依然としている社内のシステムや書類、仕事の進め方などを今の時代にマッチさせ、新しい「ムツミヤ」ブランドを作り上げていく。 

【会社データ】
本社=東京都港区新橋4―27―4 新橋吉樹ビル2F
☎=03―3433―6171創業=1875年1月
資本金=4000万円
従業員数=32名
売上高=12億円
事業内容=室内装飾業
http://www.mutsumi-ya.com

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