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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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マルホ発條工業(シリーズNo.1671)

「ばね・医療機器・包装機械」の三本の矢
精密加工技術で成長を続ける京都企業



今井良平社長

京都には個性の光る企業が多い。その多くは研究開発型で高い収益力を誇る。最大の特徴は、他の企業が行っていることを真似ようとしない「独自性の追求」といっていいだろう。
昨年、経済産業省の「地域未来牽引企業」に選定されたマルホ発條工業株式会社も、独創的な技術で世界を切り拓くオンリーワン企業の一社といえる。
社名が示す通り、1954年に一つのばねからスタートした同社。ひと口にばねといっても形状や材質は様々で、その用途は日用品から最新鋭機器まで多岐に渡る。例えば、自動車一台に使用されるばねの数は二千とも三千ともいわれており、我々の生活に欠かせないパーツであることがよくわかる。中でも同社は微細加工の精密小物ばねを得意としており、その種類は実に一万以上にのぼる



 「60有余年の間に蓄積されたノウハウをもとに、近年では緻密な製品構造が要求される医療機器分野において、当社の技術力が最も発揮されています」
 と話す今井良平社長
 髪の毛ほどの細さでありながら、しなやかな強度を備えた極小スプリング「ミクロス」。これを応用し、医療機器メーカーとの共同開発によって、首振り可能な内視鏡や特殊鉗子などの製品化を実現した。皆さんもしなやかに動く内視鏡の先端部分を一度は見たことがあるはずだ。さらに、血管内超音波検査法に利用できる「ドライブシャフト」や脳動脈瘤用の「塞栓コイル」を開発するなど、最先端医療の一翼を担っている。
また、形状記憶合金をベースにしたばねは、温度調節カラン内部に用いることで自動温度設定を可能に。同社の名前こそ表に出ていないものの日々の暮らしに密着した部分でも活躍しているのだ。

高薬理物質の生産現場でも
信頼されるものづくり力


同社はばね事業、医療機器事業に加えて包装機械メーカーという側面も併せ持つ。親会社マルホ㈱(皮膚疾患領域に特化した国内トップクラスの医療用医薬品メーカー)との関係もあり、早くから「多品種」「小ロット」を基本に据えた医薬品用の包装機械を製造している。
抗がん剤などの副作用が強い医薬品の製造現場では、作業者が健康被害を引き起こす危険性が高くなり、製造上ごく少量であっても他の薬剤に混入することは許されず、高薬理活性の高いケミカルハザード物質を封じ込める技術が必要とされています。こうした封じ込め技術も研究開発を重ね、医薬品製造現場の厳しい要求に応え得るレベルに達しています」(今井社長)
 このようにばね、医療機器、包装機械という「三本の矢」戦略で折れない事業展開を推進する同社。その根幹をなすのは一人ひとりの人材であることはいうまでもないだろう。


充実した研修制度
風通しの良い社風


同社には手厚い研修制度がある。①入社後2ヵ月間で全部署をまわる現場研修②2年間の指導員制度(OJT、メンタリング)③階層別教育④部門別の専門教育、といった具合だ。
 「昨年から外部講師を招いてビジネス英会話講座も開設しました。ここ数年のグローバル展開に伴い、英語力はますます必要となっていますので」
 と話す今井社長は、大阪大学を卒業後、松下電器貿易(現パナソニック)に入社。イタリア、イギリスなど欧州で10年以上のキャリアを積んだ国際派だ。その後、縁あって同社に入社し、2013年12月、代表取締役に就任した。
 「当時は社内全体に閉塞感が漂っているように感じました。そこで『組織・風土・運営のREBORN』と銘打った大改革を断行したのです」(今井社長)
 まず、評価制度を明確化し、個人面談を通して目標を設定させることにより社員の自発的な取り組みを促した。また、役職に関係なくお互いを「さん」付けで呼び合い、風通しの良さを生み出した。もちろん今井社長も社内では「今井さん」と呼ばれている
 そして経営面においても、各部門責任者以下、全員の意識を経営者マインドに変えるべく、アメーバ経営に倣って部門別採算・事業部制を導入。毎週金曜日に開かれる執行責任者会議の議事録を全社員が閲覧できるようにした。
 「なによりワイワイガヤガヤと議論できるオープンな雰囲気で、やりがいの持てる楽しい職場になったことが一番です。経営基本方針に掲げている通り『働く人全ての物心両面の幸福と向上』を目指しています」


グループの力を結集し
海外にも積極的に展開


 今後は今井社長就任後にスタートした海外事業を加速していくという同社。各種精密ばねの製造・販売を担うマルホ発條タイランド、医療機器及び包装機械事業のマルホ発條イノベーションズ(米国)、そして昨年M&Aでグループ化したシンガポールのニッショープレシジョンなど、グローバル化への舞台は整いつつある。現在の海外売上比率約14%を3年後の2021年には約38%にまで引き上げる計画だ。
 「日本市場は人口減少の影響もあって縮小する可能性がありますので、積極的に海外事業を拡大していきます。また、ばね事業の内、約40%が自動車向けですが、自動車業界の激変にも耐えられるだけの技術力・提案力を有していると自負しています」
 と自信を隠さない今井社長。取材の最後に「当社は女性の活躍が目覚ましいですよ」とリクルート用の「とびだせ、ばねじょ!~かがやく私のススム道~」というリーフレットを見せてくれた。そこでは若い「ばねじょ」達がイキイキとした表情で自分の仕事を紹介していた。「私が知らない間に彼女達が人事と相談して作っていたんです」と満面の笑みを浮かべる今井社長。それはマルホ発條工業の明るい未来を指し示すサインのように思えた瞬間だった。


 


【会社データ】
本社=京都府京都市下京区中堂寺南町134番地 京都リサーチパーク1号館4階
TEL=075―312―1661
設立=1954年8月
資本金=9360万円
従業員数=301名
売上高=75億8600万円(海外連結)
事業内容=ばね事業、医療機器事業、機械事業
http://www.maruho-htj.co.jp

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