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毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

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杉田建設興業 (シリーズNo.1624)

公共工事で小笠原諸島への地域貢献を貫く
創業55周年を迎えた飛島建設グループ企業



岡部 一郎 社長


 日本復帰から半世紀。「東洋のガラパコス」と呼ばれ、2011年に世界自然遺産に登録された小笠原諸島で様々な建設事業を手掛け、島民の皆と苦楽を共にし、歩んできたのが杉田建設興業株式会社だ。
 千葉県千葉市に本社を構える同社は、1970年に父島(現支店)、92年に母島と相次いで小笠原諸島に営業所を開設。道路や都営住宅の建設、学校改築工事といった公共工事で実績を積み上げ、いまや唯一無二の存在感を発揮している小笠原諸島進出のきっかけを、岡部一郎社長はこう語る。
「小笠原は創業者の生まれ故郷。日本に返還された翌年から『地域貢献』をキーワードにして事業をスタートしました。以降、生コンの自社プラントや豊富な重機を所有することで、小笠原村や東京都からも〝頼りにされる会社〟として立ち位置を確立してきました」
 昨年7月12日、M&Aで飛島建設グループの一員となった同社。飛島建設で建築部長や営業部長を10年以上務めてきた岡部社長は、奇しくも杉田正己前社長と日本大学理工学部建築科の同級生だ。前社長の死去を受けて同社を引き継いだ岡部社長は、全社員をそのままグループに転籍させることで、「社員を路頭に迷わせない」という約束を果たした。



「社員を大切にする経営方針とファミリー的な社風が当社の魅力。これはスマートで柔軟性が高い飛島建設グループにも合致しています。島のさらなるインフラ事業や防災対策工事の建設などオリンピック後の市場を見据え、新規事業の一環で行ったM&Aですが、これからも当社が築いてきたポジションと社員を守り続けたいと思います」(岡部社長)
 
設備投資で職場改善
新卒採用もスタート

 竹芝桟橋から片道24時間。船による資材の搬入や都市部とは異なる就労環境、独特の人間関係が存在することを実感した岡部社長は、現地の社員たちと積極的にコミュニケーションを図りながら、既に緩やかな変革にも着手している。
「当社の社員一人ひとりが持つ資質は優秀。親会社の管理手法にも徐々に慣れ、今では自主的に取り組んでいます。PDCAサイクルを回し続ければ生産性もさらに上がる。今後は設備投資によって職場の環境改善にも力を入れていきます」
 と話す岡部社長は、この9月から母島営業所で食事の賄いを開始。宿舎の建て替えも検討しているという。
 また、「仕事量と人材を確保したい」と今後の抱負を語る岡部社長は今年から新卒採用にも取り組み、長い業歴の中で久々となる新卒社員が本社に1名入社した。
「安定した企業であり続けるためにはプロパーの育成が不可欠です。中小企業では常に自分が主人公。やる気さえあれば上り詰めることもできます」(岡部社長)
 決算月も6月から3月へと移行し、新体制で創業55周年を迎えた同社。親会社と共働しながら、小笠原の発展に貢献する姿は決して変わることはない。 


【会社データ】
本社=千葉県千葉市若葉区加曽利町1018
☎=043―231―4874
設立=1963年3月
資本金=4000万円
従業員数=50名
売上高=15億円
事業内容=総合建設業
http://www.sugita-k.com

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