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会社の流儀BLOG

毎日新聞出版『サンデー毎日』で連載中の「会社の流儀」がWeb版で登場。中堅・中小企業の隠れた素顔や取り組みを紹介します。

東タイ(シリーズNo.1354)

企業文化と「使命と自覚」が育む強力な人材力
パッケージ業界のグローバルなパイオニア企業


真野 健太郎 社長

 スーパーやコンビニの店頭に並ぶ食品・菓子の多種多彩なパッケージ。東タイ株式会社が手掛ける商品はどれも、私たちが一度は目にしたことのあるものばかりである。

 明治中期に初代会長が日本に初めて包装用紙袋製造製袋機を導入し、1928年にセロファンによる本格的な製袋事業をスタートした同社。81年から他社に先駆けてアメリカへと進出し、「東タイアメリカ」を立ち上げた。美しく、品質が高いパッケージは数々のコンクールで入賞を果たし、その技術力は世界的に評価されている。95年には中国に「東洋製袋(蘇州)有限公司」を設立し、世界最大規模の菓子食品マーケットにも早々に本格参入した業界のパイオニア的存在だ。



 
 しかし、来年で設立90年目を迎える老舗企業でありながら、同社が近年も増収増益を続ける原動力は高度な技術力や充実した生産設備だけではない。最も顕著な勝因は「人材力」にある。

「建物や機械に投資し、磨いていかなければ競争に勝てません。しかし、それらはお金を出せば買えるもの。企業の競争力を左右する決定的な差は『人』の力です。“人財”で違いを出せる会社であり続けたいですね」
 と話すのは、2005年に就任した3代目の真野健太郎社長。自社の強みを「人」だと断言し、社員一人ひとりの魅力的な人間力と、長い業歴の中で醸成された“人が育つ”企業文化に絶対的な自信を覗かせる。
 パッケージ・フィルムの企画からデザイン、製版、印刷、加工までを一貫して手掛ける生産体制を構築し、およそ1000社の商品を取り扱う同社。名だたる食品メーカーからの厚い信頼と期待に応えるため、社員たちが所属部署の垣根や利害を超え、お互いを支え合う姿はもはや日常風景だ。時に、その力は日本と海外を結ぶこともあるという。
「会社への愛情と帰属意識が強い社員たちが、当たり前のように他部署をフォローしています。大企業のようにレールの上に組織が完成されているわけではなく、個人の資質や意欲次第で組織としての力が強まり、幅が広がっていくのです」
 と、期待以上の「使命と自覚」を備える社員の姿に目を細める真野社長。新入社員がベテラン社員に気軽に相談し、先輩が後輩に親身になってアドバイスを送れる風通しが良い環境と、最前線の営業マンからオペレーターまで全社一丸となり、短納期や難易度が高いオーダーでも「クライアントのために」と頑張れる土壌が出来上がっているのだ。
 
「遊び」が視野を広げる
情熱持ち続けた人材求む


 また、「リーダーシップを取らないのがリーダーシップ」と話す真野社長は、最大限に権限を下して現場に〝任せる〟ことで部門リーダーたちの意識を高めている。そこには、カリスマ的であった先代社長の父を意識せず、自然体を貫く等身大の経営者像が見える。
「現場を育てるためには任せなければ駄目。私は、相反した場合のベクトルを合わせるフォローをするだけです。個々の案件は現場の人間の方が正しく判断できる。私が頼りないことが良かったのかもしれません」
 と謙遜する真野社長だが、自身が経営者として300名体制の社業を牽引できる理由を「海外で遊んできたから」だと言う。異国の地で身につけた広い視野が、バランスの良い判断力に繋がっていると分析する。
 そして、自身が「遊び」を通じて得た知見と判断能力を若い社員にも分け与えるべく、入社3年目から50歳までの社員を対象に海外体験制度を実施。土日を含む10日間、年間10名に15万円までの費用を会社が負担する。安全であれば、体験したい国や目的は自由。帰国後のリポート提出なども課さない、まさに「遊び」を通じた自己啓発制度だ。
 人材採用でも、「遊び」と個性を重んじる真野社長に、求める人物像を尋ねた。
「当社の力として必要なのは、指示待ちではなく、自分で仕事をデザインできる人材。どんなことでも、勉強以外で学生時代に一つの事に持続的な情熱を注ぎ、誰にも負けないものを持っている人を求めています」
 同社の人事プログラムには営業から製造、または総務へと異なる分野を跨いで経験を積むローテーション制度がある。企業視点の理想とされる「適材適所」に縛られず、社員一人ひとりの能力を最大限に高めることに主眼を置いているのだ。
「複数の上司に仕えてこそ、自分が上司になった時に様々な経験が役立つのです」と話す真野社長が唯一、トップダウンで行うことがある。自称「お祭り男」が指示を下すのは、「社員同士がコミュニケーションを図る場を作ること」である。
 2年に一度の社員旅行や同期社員が集う工場研修など、数々のイベントが催される中でも特筆すべきは「お花見」。毎年、若手社員で実行委員会を組織。入社式を終えた新入社員が会場準備にも参加する。盛大な恒例行事はマスメディアにも大きく取り上げられた。  

社員の成長と共に描く
100年企業への進化

 富士川工場に「VOC回収・精製システム」を導入するなど環境問題にも配慮し、サニタリー系の商品など新規市場の開拓にも積極的に取り組む同社。10年後には「100年企業」を目前にする今後の展望を、真野社長は次のように話す。
「少子高齢化が進む日本の食品パッケージ市場は緩やかな斜陽産業。今までの延長線上ではなく、包装以外の新しい分野にも目を向け、さらに海外展開を推し進めます。将来、『東タイはパッケージの会社だったんですか』と言われる程、変身していたら楽しいですね」
 年に一度の全社会議。今年のテーマは「10年後の会社案内を作る」である。新入社員も参加し、事業所や部署ごとの各チームが考えた100年企業の姿の中には、真野社長が想像もしない斬新な案もあったという。さらなる“人財”の成長と企業の進化に馳せる夢は尽きない。

【会社データ】
本社=東京都台東区上野5-24-17
☎=03-3833-4141
設立=1928年8月
資本金=3億8210万円
社員数=290名
売上高=141億円
事業内容=プラスチック軟包装資材の企画・デザイン・製版・印刷・加工・販売
http://www.totai.com

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